食い違い
偽りの神々シリーズ
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
シリーズの6作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
※
卵をとって調理場に戻ると、和木の姿があった。
「どこに行っていたの?」
「別に……」
それ質問に答えてないよね。
別にって、本心はぐらかす都合のいい言葉。
こいつを言う時、和木はめんどくさいのだ。
答えようかどうか考えるのも面倒な時の口癖だ。
最近思うけど、僕も人間関係築くの下手くそだけどさ。
和木もひどいものだと思う。
そもそもが人間関係構築したいとも思ってないようにも見える。
前に拳銃を隠し持っていたのだって、僕の中には少しわだかまりとして残っていた。
こうなったらちょっとづつても、気になることは聞いておこう。
僕は調理場の横で朝食を作りながら、問いかけた。
「和木君さ、最初から拳銃持ってきたこと、なんで言わなかったの?」
「あん?」
オムレツを器用に作っている。
フライパンを握る左手の手首を、右手の拳でトントン叩くと、フライパンの中でふんわりと卵が丸まっていく。
「最初、僕達に秘密にしてただろ? 拳銃持ってきてたってこと」
「違うけど」
僕の質問に、どう言う返答が返ってくるのかと思いきや、いきなり否定から入ってきた。
「俺拳銃なんて持ってきてないけど」
何を今更。
だって、所持してたこと隠してたし。
思い出すと嫌な気分がした。
「何勘違いしてるんか知らねーけど、俺はバスケのインターハイに拳銃なんて物騒なもん持ってきてなんかねーよ」
日本刀も十分物騒だけどね。
「じゃあなんで持ってたんだよ?」
僕の質問に、和木は頭をかいた。
「ああ……。それな」
こら、それなって言葉も、めんどくさくて真意を煙に巻く時にでてくるやつだ。
「めんどくさくても教えて欲しいよ」
「なんで今頃? もう一年くらい経つけど、まだ気にしてた?」
「そうだよ」
和木が信頼していなかったから話さなかったなんて言われたまま、僕は一年クヨクヨ考えていたよ。
いつか信頼してもらえる人間になろうと思って。
「ああ」
和木はため息をついた。
「おまえ俺信頼してねーの?」
どっちが!?
どうやら僕達の意見は食い違っているようだ。
互いに顔を見合わせると、イラ立っていることがわかった。
「わーった」
諦めたように和木は時間を作ろうと言った。
「ただし、この朝食リーインに届けてからな」
「オタク家を建てるまで」:2020年12月25日