SEXは好きなお相手と?
偽りの神々シリーズ
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
シリーズの6作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
※
「言っとくけどわいは、和木君には反対や」
昼下がりの午後、不意に樫木にそう言われて、僕は本から目を離した。
「何?」
「ーーだからさ、その……、SEXは好きな人とする方がいい」
フラれた話題が、そっちネタかと思って、僕は全身が泡立って拒絶反応を覚えている。
本読み時間、邪魔しないで。
樫木も和木もリア充組だから、そこ、真剣に考えられるだけの余裕っての、あるんだよな。
そっちの話題だけで、今僕のHPかなり削られてるけど……。
悪いことじゃないんだけど、ね。
3Dのつまりリアル女子の話、特に恋愛対象として3Dとか無理。
AV女優な母の商売がネックになっている僕には結構きつい。
肉厚の官能的な匂い、やばいから。
正直、ARかVRの世界に留めて欲しい。
あるでしょ、メタバースの世界。
僕たちだってアバターで生きられた時代。
フルメタル3Dゴーグル、なんとか親にねだろうとしてたもんな。
それでエロは十分満足。
「ぼ、僕、そういうの苦手だし。正直どうてもいいっていうか……」
「よくなんやんか!」
話題から逃げようとする僕に対して、樫木は真剣だ。
「わいはさ。高野山下山して、お前らのいるバスケ部入って、俺とか言ってスカしとったんや」
んーー、確かに最初はそんな関西弁バリバリじゃなかったよね。
「和木が未だにスカしとるみたいに、わいも同じ感じやった」
机に手をついて俯いている様子は、日光猿軍団の、反省猿みたいだ。
「ーーで、こないだわい、まだ茜忘れられやんのに、リオナに迫られて流されてしもてな。童貞失ったんやけど、ーーあっ。やっ、全部しとらんけど、ーーなんかずっと、もやもやしとるんよ」
最初リオナに出会った時は、小中学生かと思っていたが、最近はずいぶん大人になってきている。
樫木も彼女と同室というのは、感情が乱れるはずである。
僕は言った。
「和木理論なら、嫌いじゃないならエッチしてもいいんじゃない?」
僕に縁のない話で、相談されても困るんだけど。
僕は樫木から目を逸らせて、他人事のように会話を終わらせようとする。
「あかん!」
それなのに樫木は、すごく強い言葉で否定してきた。
「あかんのやって」
僕はその勢いに思わず、息を呑む。
「これ、和木にも言ったんやけどな、あいつけっこうもう、昔からおかしくなってて、抱くってことスポーツぐらいにしか思っとらんのや」
樫木は僕に面と向かってくる。
「でもわいら、いやーーわいは、茜好きなんよ。リオナ、可愛いし守りたい思うけど、わい、やっぱり全部は無理やった。」
だから僕には、絶対好きな相手で童貞失って欲しいって。
どーーん。
ええっと??
今樫木くんが僕に話すのは、相談じゃない。
相手の鱗片すら見えない自分を心配してくれたんだ。
よけい、凹むよ。
心配される心配も、全くないよ。
僕は、二次元で○けるかどうかを語っていた。
絶対○けるし。
そんな自分がもう、どうしようもなく情けない。
恋愛なんて、ごめん!
ないない!
妄想しか、ごめん!
ないない!(笑)
僕はレベルの違いに、初期設定まで戻る覚悟ができた。
「僕はいいけどさ……。樫木、そんなんで今後リオナとどうなの?」
素直に心配を口にした。
一年しか経っていないのに、リオナはどんどん大人びてくる。
今では樫木より背が高いくらいで、体の凹凸もすごい。
「転生前の彼女、忘れられないとか、樫木しかつらいんだよね」
僕はなんて声をかけていいのか、どう相談に乗っていいのかわからなかった。
「オタク家を建てるまで」:2020年12月23日