中心者
「何が悪いの?」
「当たり前でしょ!こんな辺境の国。ミユの生まれ故郷じゃなかったら絶対に来ないのに。」
「アイちゃん。少し勘違いしているよ。」
みゆの言葉に一瞬緊張が走った。
アーイシャの目をまっすぐに見据えゆっくりと立ち上がり、また座った。
「ごめん。足がしびれちゃった。このまま話すね。」
「しっかりと説明してくれるならいいけど。」
「そう。まぁしっかりと話したいから座ったよ。アイちゃん。」
「残念ながら、私はここに長居するつもりはないので。」
「アイちゃん。しっかりと話を聞いてほしいんだ。分かるでしょ。」
「……わかったわ。」
アーイシャはみゆの言葉に従い、渋々座った。
いつの間にか場の主導権をみゆが握っていた。
「アイちゃんはこの子の事を勘違いしているよ。」
「勘違い?」
「うん。この子はごんちゃんっていうんだけど。私はこの子がいるからVtuberを始めようとしたんだ。」
「こんな子に何の力が……」
「ある!」
「そんなこと……」
「アイちゃんの力を十二分に発揮させるためにもごんちゃんは必要なんだよ!」
みゆの力を込めた演説にアーイシャは押されていた。
同時に強くなってくる私への期待を感じ、逃げたくなってきた。
「でも、リナが言うには……」
「やっぱり、リーか。」
みゆは深くため息をついた。