敵?
「ピンポーン」
間の抜けたチャイムが鳴った。
今まで鳴っていなかった分を取り戻すかのように鳴っている。
「何か約束してたの?」
「いや。そんなことは……」
そもそもあったところで私が知る事がなかった。
親とまともに話したのはもう覚えていないほど前だった。
「ピンポーン」
「出なくていいの?」
「出ない。」
「……なんで?」
『出るのが怖いから。』
答えはすぐに出ているのに口が動かなかった。
意味のない自尊心が現れてきた。
今まで何度も私の足を引っ張ってきた性格がここでも現れてきた。
「すいませーん。失礼します。」
「……アイちゃん?」
「アイちゃん?」
外ではなく玄関内から聞こえてくる声が一瞬私を混乱させた。
しかしそれよりもみゆのこれまで見たことのないほど慌てた様子に私の関心は向いた。
「みゆー。ここでしょー。」
「ごめん!またくるから!いったん今日はこのままで!」
「え!どういう……」
「また来るから!」
みゆはそういうと私の部屋の窓を開けて窓枠に足をかけた。
すぐにでもそこから飛び降りようとの勢いだ。
「危ないよ!」
「いや、今はそれ以上の危機が……」
咄嗟に私はみゆの身体を抑えた。
3階に位置している私の部屋から降りて何かあったらと思うと咄嗟に体が動いた。
「ミィィィユゥゥ、やっぱりここにいた。」
声のする方向を見ると、部屋の扉の前に見知らぬ外国人が立っていた。