電話
ーりりりりりりりり
急に鳴った電話によって私は我に返った。
画面を見るとみゆの名前が表示されていた。
自分の意志の弱さに引っ張られかけたところに気合が入る言葉だった。
ーりりりりりりりり
一瞬出るのを迷ったが、一呼吸おいて電話に出た。
「ごんちゃん、大丈夫だった。」
電話越しに聞こえる声で私の波だった心が収まるのを感じる。
「ごんちゃん?」
「ごめんごめん。少し飛んでた。」
「大丈夫、なんかあったの?」
「何にもなかったよ。ボーっとしてた。」
「お母さんから何か言われたりした?」
「大丈夫だよ。」
なんでも分かっているかのような言葉に救われたような思いをした。
「本当に?声が怪しいよ。」
「うん。まぁ」
「無理しなくていいんだよ。」
「少しね、あったかも。」
「そっか。大丈夫なの?」
「うん。大丈夫。少しだけ怒られたけど。」
「……そっか。わかった。」
「うん。それより何か用事あったの?」
「そうだ。明日の予定確認したくてさ。」
「……学校行こう。」
「……大丈夫?」
『ダイジョブじゃない』
本音を言うならそれで終わる。しかしそれは自分が選べる最悪の手段に思えた。
だからこそ、口からは全く違う言葉が出てきた。
「大丈夫だよ。明日よろしくね。」
「……わかった。でもその前に確認したいことがあって。」
「なに?」
「てるちゃん、どうやって説得するの。」
「え?」
「今日みたいに言っても怒られるだけじゃない。」
「……うん」
「何か作戦考えないとさ。あんなに嫌がってたしさ。」
「……でも、挑戦しないと。」
「無理やりは違うと思うよ。」
「……うん。」
「何か理由があると思うんだ。きっと。」
「……そうだよね。」
「ごめんね。責めるつもりはないんだ。今日はゆっくり寝よう。落ち着こう。」
「大丈夫。落ち着いているから……」
「分かってる。だからまた明日の朝電話しよう。」
「うん。」




