気持ち
「どこ行ってたの!」
扉を開けると同時に怒声が投げかけられた。
「なんでそんな勝手な事ばっかりするの!いつもいつもそうじゃない!そんな勝手な事ばかりして……」
息つく暇もなく繰りだされる言葉は私の心をどんどんと冷やしていった。
私の心が他の人よりも遅いことにを感じる。
少し調子のに乗っていたのかもしれない。
「あの子と一緒にいたんでしょ!そんなことだから……」
「関係ない!」
「え?」
いつも何も言い返さない私の声に母は怯んだ。
「あの子ってみゆの事でしょ。お母さんはいつも勝手な事ばかり言って!」
「何言ってるの?私は……」
「自分の事だけしか考えていない!」
「……」
意外にも母はそのまま石の様に固まり立ち尽くしていた。
「どいて!」
私は母を見ない振りをしてまっすぐと自室へと向かった。
自室に入る瞬間、目の端に立ちすくむ母の姿を確認した。
「大丈夫。落ち着こう。」
私は部屋に着くとゆっくりと呼吸をした。早鐘の様に心臓が鼓動している。
押し入れの中にある布団にくるまりながら明日を待つのがどんなに楽なのかすぐに想像できる。
自然と足が押し入れの前へと向かっていった。




