太陽
広い部屋。真っ暗な風景。何の音もしない空間。
遮音性と遮光性が極端に高いせいで作り出された空間でりなはそこに存在していた。
りなは、全てのものを排除して誰もいなくなった空間で涙にならない涙を流していた。
「いつもの事……」
りなは自分に言い聞かせるように呟いた。
音を無駄に吸収する壁は直ぐにリナの言葉を吸い込んだ。
「どうしよう……」
りなは自分の弱さをよく自覚していた。だからこそ、その弱さを隠そうと金の力に頼ってきた。
幸いなことに金は十二分にあった。
実際、金を使えば使うほど人々は近付いてきたが、何故か相手が近くなるほど遠くなるように感じた。
そんな時現れたのがみゆだった。
「結局、みゆか。」
りなはみゆに執着していることに気が付いた。
同時にみゆがいないと空っぽな自分に気が付いた。
「いっそ自分がvtuberになってみるか。」
なんとなく言った言葉がやけにしっくりときた。
自分の太陽がいなくなったら自分が太陽になればいい。
今まではりなに照らされる月の様に生きていこうと思っていたが、無理にりなを頼る意味はない。
気が付くと、りなは誰かに向けて電話を始めていた。
「もしもし、お願いしたいことがあるんだけど……」




