説得
青のショートヘアに碧の瞳、小柄で可愛らしい庇護欲をそそるような姿に思わず感嘆の声をあげていた。
「そうでしょー。かわいいでしょー。」
「この子は?」
「金剛寺飛鳥ちゃん。」
「え?」
自分と同じ名前のキャラクターにみゆの顔を見た。
みゆは私の行動が読めていたかのように微笑んでいた。
「ごんちゃんとそっくりでしょ!」
「だれが?」
「この子とごんちゃん!」
「私が子のと……」
もう一度イラストを見た。
こちらを上目遣いで様子を伺っている。恥ずかしいけれどこちらの事は気になるのだろうか。
その仕草が私の心をくすぐる。
見れば見るほど私とはかけ離れたように感じる。
「ごんちゃんのイメージを伝えて書いてもらったんだー。少し交渉に手間取ったけど。髪の色とか瞳の色とかは少し脚色したけどね。」
「それだけじゃないでしょ。」
「それだけだけど?」
「こんなにかわいくないよ私は。」
「かわいいよ!」
みゆのまっすぐな瞳は私の中心を突き刺せように見つめた。
「なんでそんなこと言うの?」
「そんなこと?」
「違うじゃん!この子と私は」
「どこが違うの?そっくりじゃん。」
「髪の色も目の色も何から何まで違うじゃん!」
「それだけ?」
「なにが?」
「それだけでしょ。髪の色も目の色も違うけどそれだけでしょ。瞳の奥に宿っている深い思いも、小さくて庇護欲を注ぐ姿も全部ごんちゃんそのものでしょ。」
「な……なにいってるの?」
「描いてもらったんだよ。アイちゃんにごんちゃんのことを伝えて」
「ずっと会ってなかったのに……」
「うん!だから最後に合った時の写真と想像で書いてもらったんだ!」
まっすぐに喋るみゆをもう私は見ることができなかったが、どんな表情で言っているのかは容易に想像できた。
そして、それを想像して私は込み上がってくる笑いを抑えることができなかった。
都合のいいことは分かっている。それでも私はみゆと一緒にいたいと思い始めていた。