言い訳
「いつから引きこもってたの。」
「引きこもってたというか……。」
「じゃあ、なんていうの。」
「……引きこもっていた。」
私はあれからみゆにずっと質問攻めにあっていた。
みゆはずっと私の瞳を見つめようとして質問し、私はみゆの足や見慣れた部屋や間違えてみゆの顔を見ながら答えた。
GWで会っていなかった友人に近況を聞くような気軽さでみゆは質問を続けた。
質問に答える度に心の中の何かが削れていくように感じた。
「思い出話はここまでにして本題を話すね。」
「本題?」
「VTuberにならない?」
「……なれないよ。」
私は必死に笑顔で答えた。
みゆが来た後、私は自分なりにVTuberを調べた。
歌って、踊って、難しいゲームをして、面白いことを話して。
私には到底できないようなことばかりしていた。
「なれない?」
「あんな風になれないよ。」
「なれる!」
「なんでそんなこと……」
「私がなれるって言っているからなれるの!」
みゆはどこまでもまっすぐに私を見つめた。
その目線が痛くてたまらない。
さっきまで自分勝手に助けてほしいと言っていたことなど、まるっきり忘れて今すぐ布団に潜りこみたかった。
「ごんちゃん、私のことを信じて。」
みゆに悪気が無い事は分かっている。
それでも……それだからこそ私は私を責めた。
身体全体が火照り、汗が噴き出て止まらない。
その事を意識し始めると急に恥ずかしくなって来た。
こんな家にいるようなみっともない恰好でみゆに呆れられていないだろうか。
ボサボサな髪の毛でだらしないと思われていないだろうか。
汗ばかりかいて臭いと思われていないだろうか。
自己嫌悪のスパイラルに陥っていく私自身を止めることができなかった。
「ごんちゃん、絶対に大丈夫だから。」
「……」
「ごんちゃんは絶対にVtuberに合っていると思うんだ。」
「……」
「私を信じてよ、ごんちゃん!」
「……」
気が付くと私は声が出せなくなっていた。
出てくる言葉の全てが間の抜けているように思えて、出てくる言葉の全てを自分の中で打ち消した。
頭の中に靄のような何かが覆い満足に思考することもできなくなっている、
「そうだ、これをみたら気持ちも変わるんじゃないかな。」
「……かわいい。」
目の前に出されたイラストを見て思わず声が出た。