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手作り
「はい、OK。」
「どうだった、みゆ。」
「完璧だよ!!」
みゆはまっすぐにこちらを見て言った。
広い部屋にテーブルとPCしかない部屋。
ここ1週間、私はみゆの部屋に入り浸りながら録音を続けていた。
最低限の家財しかないせいか必要以上に声が響く。
録った音声も余計な雑音や響きが気になるものになった。
「音、大丈夫かな?」
「これぐらい、大丈夫だよ。かえって臨場感があるじゃん。」
「そう……。」
「それになんたってごんちゃんの声と縁起が演技がいいから。」
「ありがとう。」
私を何度もべた褒めしてくれる、みゆの前でそれ以上言葉を続けれなかった。
それにみゆとこうして作っていくことが楽しくてならなかった。
アーイシャともリナとも連絡を取っておらず、アーイシャが描いたイラスト使っていいのか分からない為、ただ声を録り続ける日々が続いた。
「じゃあ、休憩にしようか。」
「うん。」
あの日、二人で再スタートを始めた夜は楽しかった。
それにその次の日二人で集まり録音したときは楽しかった。
二人で何かを作るということがこんなにも楽しいものだとは知らなかった。




