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謝罪 

 暗い道を私は歩いていた。

 いつも通りに戻った、それだけのはずだった。

 日陰者は闇に戻るだけ。


「大丈夫。これでよかったんだ。」


 言い聞かすように呟く。

 私はみゆを守るために引いたんだ。後悔などない……。

 それに今日マンションに来た時より少し心が前に向いている気がした。

 私は私の明確な意思を持ってこの道を歩けている。


「金剛寺飛鳥!!!」


 叫び声が聞こえて私は振り返る。

 そこにはみゆが立っていた。


「金剛寺飛鳥!!!」

「み、みゆ。」


 もう一度叫ぶとみゆは100メートル位、向こうから私に向かって走ってきた。

 私はどうしていいのかそこで棒立ちになっていた。

 みゆは一瞬もスピードを緩めずに私を抱きしめた。


「バカ!!!」


 みゆは叫ぶと、私の胸に顔をうずめた。

 私は、どうしていいのか分からずに立ちすくんだ。

 みゆの頭を撫でて励ませばいいものか、抱きしめて包み込めばいいのか、どちらも勇気が出来ずに両腕を上げてアタフタとしていた。


「……あの……ごめん。」


 訳も分からずに私は謝った。

 その言葉を言った瞬間、みゆはこちらの顔を覗き込んだ。

 近くで見た、みゆの顔は涙で汚れて、興奮の所為か上気していた。


「何に謝ってるの?」

「え?何に。」


 咄嗟に出た言葉だけにどう話せばいいのか分からなくなっていた。

 あの状態を作ってしまったことに対する謝罪だが、それはどこか的外れな気がした。

 それにみゆの顔はそんな説明を求めていないように思えた。


「色々かな。」


 何にでも捉えれるように胡麻化したが、みゆはその言葉に何か感じたようでじっと私の事を見た。

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