再度
みゆが来てから1週間。
「なんであんなことをしてしまったんだろう。」
布団に潜り込み私は一人落ち込んでいた。
何度も何度もあの時のことを反芻する。
母親に何度も怒られているみゆ。それをどこ吹く風で受け止めるみゆ。父親が入る何とか仲裁が入ることとで争いは収まった。
母が悪いわけではないのだが不思議と母親のことを恨んでいた。
結局、私の時間は進むことはなかった。
このまま埃を被り、時間に流されるよ思うよ、さらに陰鬱になっていった。
「ドンドンドン!」
部屋の扉が叩かれた。
食事の時間に控えめにしか叩かれることはなくなった、部屋の扉が壊されるような勢いで叩かれた。
私は、瞬間全身を縮こませた。
「やっぱり、カギ閉めてるんだ。」
扉の外から聞こえるのはみゆの声だった。
「なんでそこにいるの。」
「理由を説明するのは顔を見ながらにしない。」
鍵を開けようとベットから立ち上がろうとした。
しかし、足に力が入らない。
心と体が前に進むことを拒否している。
「このまま話せないの?」
「話せない!顔見て話そう!」
みゆの声は自信に満ち溢れていて、私の心をさらに圧迫させた。
「話せないよ。鍵も開けれない。」
「なんで、開けれないの?」
「分からないけど、わからないけど。開けれない。」
「……」
私は小さく叫んだ。
沈黙に怯えながら。みゆに嫌われる事に怯えながら。変われない私に泣きながら。
「どうしても、開かないの?」
「……」
私はみゆの問いに満足に答えれる気がしなく、押し黙った。
「分かった、開かないってことね。」
「うん。」
一瞬の間の後、扉は急に開いた。
「こんな鍵10円で開くじゃん。」
開かれた扉の後には、10円玉を片手に愉快そうに笑うみゆの姿があった。




