李娜
「まぁまぁ、二人ともそれぐらいにして。」
「リナ。どうしてここにいるの?」
私がアーイシャに頭を擦り付けてどれくらいたっただろうか、いつの間にかリーがアーイシャの後ろに立っていた。
画面越しではわからなかった高い身長と何かを企んでいるような悪戯っ子のような笑みがなぜかマッチしていた。
「いや、これはその。」
「そこに立っていたら、通れないんじゃない。」
「通れないんんじゃなくて、通せさないんだけど。」
アーイシャは明らかにイラついた様子で呟いた。
それをもリーは表情を崩さず笑いながら、答えた。
「じゃあそれを社長にも言ったら。」
「それは……」
「できないんでしょ。それなら通すしかないよね。」
「でも元をただせば……」
「それ以上は言わないほうがいいんじゃないかな。」
「……」
アーイシャは何かを恐れて急に黙った。
微笑んでいるリーと急に俯き黙るアーイシャと額を擦り付ける私。
そんな中、リーは微笑みながら一言発した。
「そこどいてくれるよね。」
アーイシャは黙ってそこから急にどいた。何も考えずに額を擦り続けていた私はバランスを崩して前に勢いよく躓いた。
転び、恥ずかしさに顔を赤くしているところを倒れているところに誰かが手を指し伸ばした。
「大丈夫?」
「あ、ありがとう。」
差し出された手を取るとそこにはリナが微笑んでいた。
しかしその笑みにはどこか信用のおけない何かを感じた。
「大丈夫、同じ仲間でしょ。」
「う、うん。」
「今日からよろしくね。私の名前は李娜っていうの、今日からよろしくね。」
私は咄嗟に手を取ってしまったことに少し後悔をする何かを感じた。




