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誰がために

 アーイシャが入っていった後の姿を見ながら私は震えながら立っていた。

 ガラス扉の向こう側のアーイシャの姿が見えなくなってからは、悔しさか悲しさかわからない涙が溢れてきた。

 零れないよ、悟られないように必死に耐える。

 なぜここにいるのか分からなくなり、自信を責める言葉が頭の中を埋め尽くした。


「あれ、ごんちゃんじゃない。」


 声を掛けられ、目の前にみゆがいることに気が付いた。


「やっぱりだ、どうしたのこんなところに。」

「みゆこそ、どうしてここに。」

「どうしてって。ここに集合予定でしょ。今日はみんなで集まろうって言っていたでしょ。」

「ああ……そうだたったね。」


 みゆに悟られないように一瞬で表情を作る。


「泣いてない?」

「泣いてないよ。」


 あまりの速さの返答にいぶかしげにみゆはこちらを伺ってきた。


「本当に大丈夫。先に入ってて、追いかけるから。」

「……」


 何とか取り繕うために早口でまくし立てたが、みゆはそこから動かなかった、


「ごんちゃん。嘘ついてない。」

「な、なにが。」

「嘘ついてるでしょ。」

「なんで嘘つく必要なんてあるの。」

「そこまで強情張るならいいよ!」


 その言葉に私は少し安心した。

 これで一人で悩める。

 しかし、その後に続く言葉に冷や汗をかいた。


「今日はもういいから一緒に話し合おう。」


そういうとみゆは私に手を差し伸べた。


「大丈夫。いいから先に行ってて。」


咄嗟に私はみゆの手を取らずに言った。。

みゆの顔に困惑の表情を見て取れた。

自分でも咄嗟に取った自分の行動を理解できなかった。


「ごんちゃん……」

「大丈夫、先に行ってて。みんな待ってるよ。」

「……わかった。でもこれだけは言わせて。」

「なに。」

「ごんちゃんはごんちゃんが一番いいと思う方法を取って、誰の為でもなく自分のために。」

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