私,VTuberになります。
「『つまり、VTuberになる(ならない)ってこと』」
みゆとりーが同時に違う結論を出した。
私の矛盾した答えを一瞬で見せらつけられた。
「りー、なんでそんな答えになるの。」
『社長、こっちのセリフですよ。感情的に判断しないでください。』
「さっぱりわからないんだけど。」
『はっきり言うと、金剛寺飛鳥さんは”邪魔になるから”VTuberにならないんでしょ。』
「邪魔。」
『そう邪魔。社長にはプログラムの才能が、アーイシャには絵の才能が、私には財力も実況の才能もなんでもある。その子には何もない。苦しむのは金剛寺飛鳥さんだよ。』
「だから、才能なら……」
『社長の贔屓はいいから。』
”才能がある。”そういわれなくなってどれくらいになるのだろうか。
昔はもう少し自己を肯定できていた気がするがそれもどうだったのかいまいち自信がない。
しかし、ここまで否定をされていくと何か別の感情が湧いてくる。
最初は自分を否定されているイラつきと思っていたが、ただそれだけではなく、みゆを否定されていることに対しての憤りなのだと気が付いた。
「贔屓じゃない!」
『社長は抜けているところあるから。』
「抜けるとかじゃない!」
『じゃあ、具体的に何の才能があるか伝えれる。』
「……VTuber」
『え?』
「VTuberの才能がある!自分でもやっとわかったよ。ありがとうりー。ごんちゃんにはVTuberの才能がある!」
『……何の才能』
みゆには頭が良すぎる為か一人で完結してしまう癖があった。
今でもそれが出ているらしいがりーもアーイシャもそれを十分に理解していないらしい。
「VTuberの才能があるからごんちゃんには社長になって貰うんだ。それに人を引っ張っていける才能もあるし。」
『だからVTuberの才能って何?聞いたことない。』
「私にはわかるんだよ。」
私も持っている感覚が人には伝わらないことを悩んでいた。確かみゆと仲良くなったのもそんなことが関係していたと思う。
私はみゆと離れて独りになることを選んで、みゆは相変わらず人とぶつかっている。
そう思うと私は人生で一番の決断をしていた。
「私VTuberになります。」