カンパニー
「ミユ、リナが話をしたいって言うんだけどさ。」
「うん。わかってる。」
「それで……」
「うん、スピーカにして。」
「分かった」
『社長!元気にしていた!!!』
大音量で流れてきた声に私は飛び起きた。
「りー。音が大きい。」
『ごめん、ごめん。下げるから。それよりこれちゃんと姿映ってる?』
「映ってなくてもいいでしょ。」
『えー。嫌なんだけどー。姿ないと喋りずらいんだよー』
「関係ないでしょ。」
『関係あるの。そういう繊細な心の持ち主なの。何ならそっちの携帯に干渉して無理やり映させてもいいんだけどなー』
「アイちゃん。映像を映してあげて。」
『ありがとう!愛してるよ。社長。』
「はいはい。」
投げやりな返事をしているみゆは初めてだった。
険悪というより信頼しあっているような感じに私の中で何かもやもやとしたものが沸々と沸き上がるのを感じた。
『ウェイ?聞こえているー?』
「聞こえてるよ。」
画面に映ったのは長い緑髪と陶磁のような肌を持った透明感がある美人だった。
単語として綺麗な髪を緑と表現することは知っていたが、まさに緑と表現するのが正しいような艶やかな髪だった。
『ごめんねちょっと話が食い違ったみたいでさ。』
「わざと食い違わせたんでしょう。」
『そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないよね。』
「ああ、そうだよね。それでりーは何の用事?」
『金剛寺飛鳥なる人物を見てみたくてね。』
「やっぱりそうだよね。」
『だってツイッターもフェイスブックもインスタグラムもティックトックもやっていないんだもん。一応noteとかYouTubeとかも調べたんだよー。』
「まぁ、そういうのやらないだろうしね。」
「なんでそんな子を……」
「それはだんだんと分かってくるよ。みゆは天才なんだから!だからみゆにはLucid dreamingの社長になって貰うんだ!」
唐突な言葉に部屋全体の空気が凍った。
そしてその場で誰よりも私自身が驚愕し固まった。