指技
『ブーブーブー』
一瞬静かになった室内に携帯のバイブ音が鳴り響いた。
「出ていいよ。りーでしょ。」
「う、うん」
先程とは変わって大人しくなったアーイシャが電話越しで何か話し始めた。
「ごんちゃん、ごめんね。情報が多いよね。アイちゃんの姿を見て少し反省したよ。」
「う、うん。大丈夫」
「まずどこから話したらいいんだろ……」
「みゆ、でも私にそんなこと話していいの?」
「話していい?」
「だって、私なんかにそんな大事な事話しちゃったらさ……」
「ごんちゃん!勘違いしてる!」
「何も勘違いなんかしていないと思うけどな。」
「足も崩して!順を追って説明していくから。」
「う、うん。あっ」
足を崩そうとした瞬間、自覚をしていなかったほどの痺れに思わず声が出た。
「ごんちゃん。もしかして足が痺れた?」
「いや、そんなことは……」
みゆの顔に懐かしい、悪い顔が浮かび上がっていた。
「もしかして、今悪いこと考えていない?」
「何のこと事かな?」
そういうと、みゆはじりじりとにじり寄ってきた。
「話し合いの余地があるんじゃないかな。ごんちゃん。」
「みゆ、二人の間でそんなぬるい事言えないんじゃないかな。」
「久々にあったし、まだ距離感がさ……」
「それにごんちゃんには少しお仕置きだ。」
「ま、待って。」
「待たない!」
「あー」
ごんちゃんの指技に私の足はあっけなく屈し、倒れた。