プロローグ
私が覚えている最初の記憶は延々とプリキュアを見ている自分の姿だった。
画面の中のプリキュアたちに声援を送り、同じポーズを取り、同じ歌を歌った。
七夕の短冊に大きく”プリキュア”と書いたことを今でもみゆにいじられる。
みゆというのは”鏡みゆ”のことで、幼稚園からの幼馴染だ。
私と違ってなんでもできる天才でその上、友達も多く何をやっても注目を浴びるスーパースター!
私みたいな陰キャになんでこんなに関わってくれるのかわからないけど……
話を戻すね。
いつまでも画面にかじりつく私を見て、お母さんは心配したみたいで”プリキュアは1日3時間まで”と約束が交わされた。
それでもこっそりと見ていた私に気がつき川にプリキュアのフィギュアを流された。
私は号泣し、それ以来3時間以上の視聴をやめた。
時間が余った私の目に入ったのがお父さんの買ってきたジャンプだった。
お父さんが楽しそうに読んでいるジャンプを見て気になり、一度読んでみた結果完全にハマってしまった。
その日は家に眠っているジャンプを読み漁った。
結果、家に帰ってきた母親が泥棒が入ってきたのかと思い警察沙汰になった。
倉庫に頭半分突っ込みながら読み漁っている私を見つけ、母親が絶叫していたのを今でも覚えている。
自分に閉じこもる生活をしていた私は小学校、中学校、高校とみゆ以外の友達ができるわけもなく孤独な毎日を過ごした。
みゆは私と多くの時間を共にしてくれたが、みゆ自身が人気者だったので全ての時間を共にすることはできなかった。
みゆと違う学校に通い始め、噂ではアメリカの大学に飛び級したと聞いている。
みゆと別れた私はさらに孤独になり始めた、中学まではなんとか通ったが高校1年の夏休み明けから学校にもあまり行けなくなっていた。
この物語はそんな私の物語。
始まりは高2の夏休みから始まる。