9.ステータス
※6/15、6/21 一部数字の表記ミスを直しました。
おかしい。
僕のステータスじゃ、ホブゴブリンに接近戦で勝てるわけないのに……
なぜ勝てたんだろう?
いや――
そうか! まさか!!
つ、遂に…
眠っていた力が目を覚ましちゃったったとか!?
やった! やったあぁー!!!
やっぱり僕は本当の勇者だったんだ!!
誰がハズレ勇者だ! 僕を追い出したやつらざまぁみろ!!!
……
……
って、そんなことあるかな?
ちょっとテンションがおかしなことになってしまった。
一旦、落ち着こう。
まずは、深呼吸。
スー、ハー、スー、ハー
よし。平常心、平常心。
では、あらためて自分のステータスを確認しよう。
鑑定。
―――――――――――――――――――――――――
名前 : 山本タケル
種族 : ヒューマン
年齢 : 19歳
HP : 21 <+12>
MP : 45 <+40>
SP : 265 <+45>
力 : 14 <+9>
魔力 : 65 <+25>
素早さ : 11 <+5>
身の守り : 10 <+5>
知力 : 18 <+8>
スタミナ : 11 <+6>
運 : 5 <+3>
■スキル
異世界言語
算術
速読
裁縫
鑑定
忍び足
気配察知
力2倍
■ユニークスキル
くじ
■魔法
火魔法初級
■称号
異世界の勇者
追い出されし者
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おおお!
ステータスが上がってる。
力は9も上がっている。
そうか。だからホブゴブリンにも力負けしなかったのか。
スキル「力2倍」を使えば、14の倍の28だから、ホブゴブリンの力18よりも10も上になる。道理であっさり勝てたわけだ。
それに全体的に各ステータスの数値も上がっている。特に、MPや魔力の上がり幅が大きい。
魔法の威力が凄いことになってると思っていたけど、元々高かった魔力がこんなことになっていたのか。
やはりこの伸びを見ると僕は魔法使いタイプなんだろうなぁ。
ステータスに表示されてないからレベルの概念があるのかわからないけど、ゲームのように、モンスターを倒すと経験値が入ってレベル、ステータスが上がる?とかなのかな?
ゴブリンを5~6匹倒した段階でこのステータスになってたのかな?
いや、でも、ホブゴブリンを倒した時にもステータスは上がったんじゃないかな?
あぁ、ステータスをもっと細目に見ておけばよかった。
今更、そんなこと言っても仕方ないか。
それにしてもこんなに上がっていたのか。
SPは相変わらず飛びぬけてるけど、魔力やMPなんか他の冒険者と比べても結構なレベルなんじゃないかな。
それにそれ以外の各項目も一般平均の10を超えてる。これで身体能力は平均水準を超えたことになる。
この調子で順調に各ステータスを伸ばせるなら魔法だけじゃなく、剣や槍なんかの武器スキルを鍛えてもいいかもしれない。
ソロだし、今回みたいに接近戦をやらなきゃいけないシーンはこれからもでてくるだろうから、前衛をやれた方がぐっと生存率があがるはす。
まぁ、器用貧乏にならないように、あれもこれもっていうのは気をつけなきゃだけど。
よし。ステータス確認終わり。
とりあえず、一度王都に帰ろう。
◇
「えっ! ダンジョンが!」
「そうなの! 良かった! 森に行くって言ってたから、タケル君が迷い込んじゃわないか心配してたのよ」
ギルドに戻り、討伐報告をしたところエマさんからダンジョン発生のニュースを教えてもらった。
なんでも今回、僕が討伐に行った森に、最近ダンジョンが発生したとのこと。
ダンジョンから強力なモンスターが外に出てきており、森の生息モンスターもこれまでと変わってきてしまっているそうだ。
駆け出し険者向きだった森が、一転して難易度不明の森になってしまったとのこと。放置するわけにもいかないので、近々、ギルドからダンジョン攻略クエストが発動されるそうだ。
僕が倒したホブゴブリンもダンジョンから出てきたものに違いないだろうとのことだった。
危ない。ゴブリン程度のモンスターしかいないかと思っていたけど、そんなことになっていたとは。いや、実際、予想外にホブゴブリンに遭遇したけど。
なお、エマさんにホブゴブリンを倒したと言ったら「えっ、タケル君そんなに強かったの?」と凄く驚いていた。
それと、ゴブリンの討伐依頼を無事完了したため、無事に基準クリア。晴れてEランクに昇格になった。
うんうん。下から2番目のEランク昇格とは言え、素直に嬉しい。
これで初級冒険者卒業ということで、受けられる依頼の幅がぐっと広がる。
「それで、タケル君、次はどの依頼にする? あと、ソロじゃ危険だからもう森に行っちゃだめよ」
「あぁ、それなんですが――」
エマさんに止められてはいるけど、次にやりたいことは決まっている。