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8.討伐依頼

 僕は、今、王都から少し離れた森に来ている。


 ここには今回の討伐対象のゴブリンに、スライムやレッサーウルフといったモンスターが生息している。


 この前の林よりも若干手強いモンスターがいるけど、まだまだ雑魚モンスターと言っていいレベルのモンスターばかりだ。


 低ランクの冒険者でもパーティーを組んで戦えば、容易に倒せるレベルのモンスターしか出ないので、駆け出しの冒険者の格好の狩場となっている。


 まぁ、ソロの僕からしたら結構命がけで来ないといけないところなんだけどね。


 さて、今回の作戦はこうだ。


 まず、「気配察知」でモンスターに気付かれる前にみつける。


 見つけたら「忍び足」で攻撃可能な距離までこっそり近づき、遠目から火魔法で攻撃する。


 以上。


 ……よし、完璧だ。


 魔法使いよりのステータス、シーフよりなスキル、僕のこれらの特徴を考慮すると、こっそり近づいて遠距離から仕留める、この方法がベストだと思う。


 ちなみに、火魔法は採取の時に実験済み。


 遠目からスライムにファイヤーボールで攻撃したところ、一発で消し炭に。


 結構な威力だったので、恐らくゴブリンでも一発でいけるんじゃないかと踏んでいる。


 まぁ、駄目だったらすぐに逃げようと思うけど。


 それでは、早速、ゴブリンを探そう。


 ――「気配察知」で、近くにいるモンスターの気配を探しながら森を慎重に進む。


 何匹かモンスターが近くにいる。


 複数を相手にできないので、一匹でいるモンスターに絞って探す。


 いた!


 単独で動いている気配に「忍び足」を使いながら、そっと近づいていく。


 すると繁みの奥に一匹のゴブリンがいた。


 早速、鑑定。


―――――――――――――――――――――――――

■ゴブリン


緑色の肌の亜人型のモンスター。

残忍で狡猾。

体格は小柄で力も弱く、知能も高くない。

一般的な前衛の冒険者であれば、難なく倒せる。

ただし、群れを成した場合は危険度が跳ね上がる。


種族  : ゴブリン

HP   : 9

MP   : 0

SP   : 0

力   : 9

魔力  : 1

素早さ : 4

身の守り: 5

知力  : 3

スタミナ: 7

運   : 1


■スキル

 ‐

―――――――――――――――――――――――――


 たいした強さじゃない。


 仮に奇襲に気づかれても走って逃げられるだろうし、スキル「力2倍」を使えば恐らく単純な近接戦闘でも勝てる。


 相手のステータスに少しほっとする。


 いやいや、油断したら駄目だ。


 こちらに気づかれる前に、作戦通り先制攻撃しよう。


 僕は、緊張から震える両手をゴブリンに向け、詠唱を開始する。


「――― ファイヤーボール!!」


 火球が勢いよく飛んでいき、ゴブリンに命中する。


 ドーン!!


 ……やったか、と思わずフラグが立ちそうなセリフを口にしそうになり、慌てて自分の口を押える。


 あれ?


 土煙が収まると、そこには木端微塵になったゴブリンの残骸が四散していた。


 ……やり過ぎたかもしれない。


 僕は、喜ぶより先に慌ててゴブリンの討伐部位が残っているか探しにいった。



 その後――、僕は順調にゴブリン討伐を続けている。


 恐ろしいぐらいに作戦がはまり、単独のゴブリンをみつけては遠距離からファイヤーボールで倒している。


 残念ながら、始めのゴブリンは討伐部位の耳ごと頭部が吹き飛んでしまっていた。


 これじゃ討伐数にカウントできない。


 くよくよしてもしょうがないので、反省してそれからは、ファイヤーボールの威力をセーブして頭部が残るように魔法を使っている。


 セーブをしても一撃で倒せている。もしかしたら僕の魔法は強いのかもしれない。


 もちろん、探索中、複数でいるゴブリンやモンスターの群れもいたけど、気配を察知したら素早く距離をとっている。


 やばい。楽しいなぁ。


 僕、冒険者向いているのかもしれない。


 よし、これで五体分そろったな。


 と、五体目となるゴブリンの討伐部位を切り取りながら、ふと、前をみる。


 そこには、ゴブリンより数倍大きな体躯のモンスターがいた。


 反射的に鑑定する。


―――――――――――――――――――――――――


■ホブゴブリン

ゴブリンの上位種。

ゴブリンより体格が二回り以上大きく力も強い。

ゴブリンを引き連れて群れを形成していることが多い。


種族  : ゴブリン

HP   : 21

MP   : 0

SP   : 5

力   : 18

魔力  : 2

素早さ : 11

身の守り: 10

知力  : 3

スタミナ: 15

運   : 1


■スキル

 ‐

―――――――――――――――――――――――――


 えっ? ホブゴブリン? なんでこの森に?


 ゴブリンのステータスの倍以上もあるじゃないか。


 ゴブリンとステータスが大して変わらない僕じゃ勝てるわけがない。


 いや、しまった! 油断した!


 目の前のことに夢中で、気配察知が機能していなかった?


 くそっ、気付かれる前に逃げなきゃ!?


 ……って、思いっきり目があった…


 そう思うのと同時にホブゴブリンが駆け出し、ものすごい勢いでこちらに近づいてくる。


 くっ! 魔法を! 詠唱が間に合わない!?


 どうする? 逃げられるか!? 


 「忍び足」じゃ、今更意味がない……


 接近戦をするか? でも、僕のステータスじゃ…


 って、もう目の前だよ。


 やるしかない。


 考えがまとまらないなか僕は迎え撃つべくショートソードを構える。


 ホブゴブリンが走ってきた勢いのまま棍棒を叩きつけてくる。


 躱せそうもない。


 僕は、駄目元でスキル「力2倍」を使いながら棍棒をショートソードで受け止める。


 ガキーン!?


 う、受けとめられた!?


 衝突の衝撃の後、目の前で棍棒を弾かれたホブゴブリンが大きく体制を崩している。


 チャンス! と思うより先に身体が動く。


 無我夢中で剣を振るう。


 思考が戻ってきたのは、血まみれのホブゴブリンが動かなくなった後だった。


 勝てた?


 どうして?


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