2.冒険者登録
「あの、すみません。冒険者登録をしたいんですが…」
「…はぁ、かしこまりました」
受付の女性は値踏みするように僕の全身を上から下まで観察し、ため息交じりにそう答えた。
目には明らかな侮蔑の色が見て取れた。
感じ悪いな。
すごく綺麗な人だけど、性格悪いんだろうなぁ。
まぁ、僕みたいに見るからに弱そうなやつが来たら仕方ないのかもしれないけどさ。
王宮を追い出された後、僕は冒険者になるべく王都の冒険者ギルドに来ていた。
追い出される際、冒険者になったらどうかと進められたということもあるし、僕自身もせっかく異世界に来たんだから冒険者になって活躍したいと思ったからだ。
そりゃ思うでしょ。異世界だよ。
ちなみに、追い出される間際、
「そんな薬草を出すだけのスキルなど聞いことがない! とんだハズレ勇者じゃないか!」
「しかも、その薬草も何回かに一回しか出せないとは…」
「そんなハズレ勇者など必要ない! 処分してしまえ!」
など、過激な声が結構あったりしたんだけど、
「我々の都合で勝手に呼び出しておいて、そのような無法は看過できません」
と、王女様の鶴の一声で何とか殺されずにすんだ。
それに、そのまま追い出しては生きていけないでしょうと、恩情として少しのお金と冒険者ギルドへの紹介状をくれた。
勝手に召喚しておいて恩情とはなんだよ。と思ったけど、ゴネたり、断ったりしても状況が悪化することはあっても好転する気もしなかったので素直に受け取っておいた。
散々な目にあったけど、王女様には感謝している。
いや、相当な被害にあってるんだし、加害者側がちょっと優しくしてくれたからって感謝しちゃいけないのかもしれないけど、召喚されて初めて人の善意に触れた気がして少し嬉しかった。
それに王女様は聖女アリシアに負けないくらいの美少女だった。
また会いたいなぁ。
「おいおい! オマエみたいなモヤシやろうが冒険者になろうっていうのか? やめとけやめとけ」
受付手続きを待っていると、筋肉隆々のモヒカン頭の男が大声で話しかけてきた。
如何にも雑魚キャラですという風貌をしているけど、どう見ても僕より強いでしょう。。
うわぁ、やっぱり絡まれたよ!?
「えっと…」
助けを求めて受付の女性を見る、が彼女は我関せずとばかりにこちらを一瞥しただけで、また作業に戻ってしまう。
くっ、薄情な。
「ふんっ! オマエ女に助けて貰おうってか? 情けねぇ奴だな。ちょっと面かせよ」
モヒカン男は、そういうと僕の肩を掴み、引き付けるようにして僕を床に叩き飛ばす。
グハっ!!
僕は、受け身も取れず、されるがままに床に叩きつけられる。
「見た目通り、弱っちい奴だな。ほら、立てよ」
くそ。まただ。
なんで僕がこんな目に遭うんだ。
理不尽だろ。
なんで誰も助けてくれないんだ。
「はんっ!! 早く立てって言ってんだろ! 殴られてぇのか?」
いや、わかってる。
わかってるんだ。
そんなことを言っても仕方ない。
自分で何とかするしかないんだ。
ここは理不尽がまかり通る世界なんだ。
「おい! お前わかってるのか?」
僕は立ち上がりながら男に問いかける。
「はっ?」
「僕は王家の紹介でここに来ている。お前は王家に喧嘩を売るつもりなのか?」
「はっ、出鱈目言ってんじゃ・・・
僕は男の言葉を遮るように王女からもらった紹介状を取り出し、男の目の前に突き出す。
「なっ、王家の紋章。マジかよ……」
……
「わかったらサッサと去れ! お前の相手をしている程、僕は暇じゃない」
男は悔しそうに顔を歪めると無言で立ち去って行った。
はぁ、良かった。
実際のところ僕に何があったって王家は何もしてくれないだろうからなぁ。
ハッタリに引っかかってくれて良かった。
その後、紹介状を受け取った受付の女性は少しだけ対応が良くなった。
僕を貴族の子供かなんかだと勘違いしたのか、言葉使いも若干丁寧になっていた。
そんなわけで、無事に冒険者登録が終わったので、難易度が低い依頼をいくつか受注してきた。
お約束の薬草類の採取依頼だ。
はじめはコツコツこういう依頼をこなさないとね。
そもそもいきなり討伐依頼を受けても戦える気がしない。
ちなみに、お約束通り冒険者にはランクがあり、始めはFランクからスタートし、最高がSランクだ。
やるからにはいつかSランクになりたいな。
ともあれ、まず金を貯めて、装備を整えて鍛えて強くならないと。
おっと、そういえば今日のくじを引いてなかったな。
僕は、日課になったスキル「くじ」を発動する。
『アタリ! 毒消し草です』
アナウンスと供にポンと毒消し草が目の前に現れる。
お、今日は当たりか!
といっても、当たりが出てもこの程度なんだよなぁ。
これいくらするんだろう? 大した金額じゃないんだろうけど。
『スキルレベルが2になりました。ガチャが引けるようになりました』
えっ?
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試行錯誤して書いてますので参考になります。