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19/20

19.その後

明けましておめでとうございます。

更新遅くて本当にすみません。

 ◇


 ダンジョン攻略は、勇者達に先を越された。


 つまり、ダンジョン攻略の勝負に僕達は負けたのだ。


 流石は勇者一行! というところだろうか。


 僕達が八階層あたりでモタモタしている間に、あっさりと先に攻略されてしまった。


 『いいよ。やるよ』 あれだけ恰好つけて啖呵をきったものの完敗だった。


 恥ずかしい。


 あの時の僕はどうかしてたのかな? 


 普通に考えれば、この結果は予想できたのに……


 ただ、不思議と後悔するような気持ちは沸いてこなかった。


 おかしいな。なんでこんなスッキリした気分なんだろう。


 そんなことを思いながらジュースの入った杯を口に運ぶ。


「ちょっと、タケル、全然飲んでないじゃない!? 折角のランクアップのお祝いなんだからパーっといきなさいよ! パーっと!」


「うわぁ、酒臭いなぁ! 飲みすぎだよ!」

 

 酔っぱらった星宮が顔を近づけてくる。普段だったらドギマギするところだけど、これだけ酒臭いと、そんな気にもならない。


 星宮は酒乱なのかな? それにしても今日は、はっちゃけてるなぁ……


 よっぽどランクアップが嬉しかったのかな?

 

 実は、今回のダンジョン攻略の成果で僕も星宮も冒険者ランクがそれぞれ一つアップしている。星宮がCランクに僕がDランクに。


 五階層のフロアボスを倒し、勇者パーティーのダンジョン攻略に協力したとして評価されたのだ。なんでもユーリ王女が僕達二人のことをギルドに報告してくれたそうで、追って報奨金まで出るとエマさんが興奮気味に教えてくれた。


 ユーリ王女さまさまである。こういったちょっとした心遣いが嬉しい。異世界に召喚されたことは今でも業腹だけど、ちょこちょこ助けてもらっているし、ユーリ王女は憎めないなぁ。いつか恩を返したいと思う。


 まぁ、でも、今回星宮がハイテンションなのは――


 やっぱり、悔しいんだろうなぁ。


 僕だってそうなんだから。


「あぁ、悔しいなぁ! ごめんね。星宮。僕が強かったら負けなかったのに!」


 突然、大きな声を出した僕に星宮がキョトンとした顔をする。が、すぐにいつも通りの表情に戻り微笑みを浮かべる。


「別にタケルがどうとかないわよ。どうしたのよ? ジュースで酔っぱらったの?」


「いや、だってさ。絶対、僕が足でまといだったと思うんだ!」


「そんなことないわよ! タケルのお陰でこの銃も使えるようになったしね! 精鋭を集めた勇者パーティーと競争するにはまだちょっと早かったってだけよ」


 星宮が人差し指と親指を立てて手をピストルの形にすると、バン、と口を動かし、僕に向けて銃を撃ったような仕草をする。


「で、でも、勝って勇者パーティーに戻りたかったんじゃないの?」

 

「はぁ~、何度も言っているでしょ? そんな気はなかったから」


 星宮がやれやれと首を振り、額に手をあてて盛大に溜息をつく。


「だって、凄い必死だったじゃないか!」


「ただ、見返したかっただけだって。はいはい。この話は終わり。何を言っても納得しないでしょ?」


「むぐぐ……」


 不満げな僕を見て、星宮が話を切り上げる。


「じゃぁ、その…… ハンナ達パーティーへの紹介も本当にしなくていいの?」


「いい。もうダンジョン攻略は終わってしまったから」


「でも……」


「でもじゃない。さっきから何なの? 辛気臭い話ばかりして、私と飲んでて楽しくないの?」


「いや、そういうわけじゃないけど――」


「じゃあ、いいでしょ? 今日は楽しくやろうよ! 折角のお祝いなんだからさ! ハイ! カンパーイ!!」


「う、うん! か、乾杯!」


 星宮に言われるがまま何度目かの乾杯をする。その後、ダンジョンでのアレやコレを面白、おかしく話し、お互い大学でどんな風に過ごしていたかなんて話に花を咲かせた。


 そして、夜も更けてきたので、この辺が頃合いとお開きになり、宿に帰ってきた。


 長い一日も終わりだ。


 楽しいことも、悔しいことも沢山あったな。


 あー、疲れた。


 「じゃ、星宮、おやすみ」


 と、自分の部屋に帰ろうとすると


 「ちょっと待って。――私の部屋に来ない?」


 「へっ?」


 腕を掴まれて振り向くと、顔を赤らめて上目遣いで僕の顔を見つめる星宮がそこにいた。

 


読んでいただきありがとうございます。


本作品を面白い、応援してもいい、と思っていただけましたら、ブックマークや感想、下に★評価がありますので、こちらで評価いただけると嬉しいです。


次話頑張ろうと更新の励みになります。よろしくお願いいたします

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