表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/20

14.案の定

「なるほど。そうだったんだ」


「そう! ひどい話でしょ!」


 星宮にそれとなく、これまでの戦闘がどうだったのかを聞いてみた。


 特に射撃について……。


 案の定、王宮で訓練していた時も射撃が全然だめだったそうだ。


 初めは高ステータス、優秀なユニークスキル持ちとチヤホヤされていたのが、射撃がさっぱりと判明すると一転、星宮の評価は急下降。


勇者パーティーに向いてないとパーティーを抜けるように則されたそうだ。


「威力がどんなに凄くても当たらないんじゃ何の役にも立たない」

「銃のユニークスキルがあっても射撃センスがないなんて、何の冗談かしら?」

など散々に言われたそうだ。


 あげく、勇者にも


「俺に相応しくない」


と戦略外を告げられたそうだ。


「それで、『言われなくてもこっちから出てってやるわよ!』って言ってやったの!」


「へぇー」


「本当になんなのアイツ! 勇者様、勇者様とかチヤホヤされて調子に乗ってるのが本当に気に入らないわ!」


「うんうん」


「異世界に来て美少女達に囲まれるようになったら態度が変わっちゃってさ! 別にアイツのことなんて全然好きじゃないのに『彼女面するな!』みたいなこと言ってくるのよ!」


「そうなんだ」


「そう!!! そんなのしてないし!!! 大学じゃアイツから私に言い寄ってきてたくせに、イライラする!!!」


 相当不満が溜っていたようで、一度話し出したら星宮の話は止まらなかった。


 ――随分ヒートアップしてきたなぁ。


 同じく王宮を追い出された僕としては、気持ちはわからなくもないけど……


「わかった。それで見返すために、勇者達より先にダンジョンを攻略してやろうと思ったんだね」


「そう!! だから、モタモタしてられないの!!」


「急ぐのはいいんだけど……、弾丸が当たらなくて直接殴るぐらいなら、剣とか斧とか近接攻撃用の武器を装備したりはしないの?」


「はっ?」


「えっ!? いや、銃で殴ってもあれだけ強いんだし、僕はどちらかというと後衛だし、前衛やってもらってもスムーズかなと思って」


 実際、星宮が前衛をやってくれた方が僕としては戦いやすい。女性を前衛にして自分は後ろにいるとか抵抗がないわけじゃないけど、僕と彼女じゃステータスが段違いなので、そうした方が合理的かと。


「はぁ~」


 星宮が額に手を当てて溜息をつく。


「確かに王宮で鑑定してもらった時も上級冒険者や王宮騎士と比べても遜色ないステータスと言われたし、前衛職を進められたわ」


「だったら――」


「でも、駄目! このスキルで見返してやりたいの! 逃げたみたいに言わるのは癪だし、このスキルさえ使いこなせれば、あの勇者にだって負けないわ! ゴミスキルのあなたにはわからないでしょうけど――、あっ!」


 まずいことを言った、と思ったのか星宮の言葉が途中で止まる。


 ……


 気まずい沈黙。


 『ガチャ』が引けるようになって僕のスキルは、相当優秀なスキルになったからいいんだけどね。


 うん。それでも面と向かって言われると流石にいい気はしないね。


「あー、まぁ、好きにしなよ。僕とは様子見程度にダンジョンを巡るだけだしね」


 いつまでお互い黙っていても仕方ないので、仕切り直しと会話を終了し、ダンジョン探索を再開する。


 その後は、どちらが前衛後衛とでもなく、微妙な距離感で進んだ。


 モンスターを見つけたら僕が後方からファイヤーボールで仕留めたり、星宮がエレメンタルショットを撃って、外して、接近してきたやつを殴り飛ばす、といった感じで戦っている。


 結局、星宮はほぼ前衛職みたいになっている。


 ちなみに、今日のガチャで取得した「闇魔法(初級)」のスパイダーネットが地味に役立っている。ちょっとした広範囲に蜘蛛の巣状の魔法のネットを放てるので、ホーンラビットやビッグバットのような動きが素早く、ファイヤーボールが当てにくい相手に重宝している。


 スパイダーネットで捕縛され、動けなくなったモンスターを星宮が近距離射撃で倒して回っている。遠くからだと当てられないからか凄く楽しそうだ。しかもなぜか、毎回僕にドヤ顔してくるので、手柄を取られたようで面白くはない。


 ただ、そんな感じではあるものの、何だかんだで星宮は強かった。


 僕のアシストがあるものの特に苦戦するようなことは何もなく、順調に四階層まで進んできてしまった。僕一人ではコボルトやホブゴブリン相手に近接戦闘も満足にできないし、こうはいかなかっただろうね。くやしいけど彼女は僕よりも全然強いと思う。


「さて、どうする? そろそろ戻ってもいいんじゃないかな? ハンナ達には星宮が優秀な冒険者だってちゃんと紹介するよ」


「う~ん……、折角だから五階層まで行くわ。次は、フロアボスでしょ? それを倒しておいた方が色々と話が早いと思うのよね」


 思案気な顔で星宮が下の階層に続く階段を指差した。


読んでいただきありがとうございます。


この作品を面白い、応援してもいい、と思っていただけましたら下に★評価がありますので、こちらで評価いただけると嬉しいです。更新の励みになります。良かったらよろしくお願いいたします。


テンプレみたいになっちゃってますけど、本当に評価いただけると嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ