11.詰問
※8月24日少し表現を整えました。
「えっと… うん。まずは、落ち着いてください。な、何を? 話しましょうか?」
四人の女性に囲まれ、僕は縮こまりながも何とか声を絞り出す。
彼女達に見つかった後、こうして囲まれ詰問されている。
萎縮しきった僕は、ギルドにいる冒険者から滑稽に見られていることだろう。
う~、なんでこんなことに。
女性に囲まれるってもっと楽しいものかと思ったけど、何これ?
どうしてみんなして僕を睨むような厳しい目線を向けてくるのだろか?
何も悪いことしていないよね?
プレッシャーが凄い。
冷や汗が止まらない。
「タケル! その女はなんにゃ? タケルの知り合いなのかにゃ?」
「いや、あの、その、知り合いというか… 何というか… 全く知らないわけじゃないというか――」
「にゃっ!?」
煮え切らない回答をする僕に怒気を滲ませたハンナがヤンキーのように顔を寄せてくる。
ちょっと怖いです。
「いや、だから、その…、強いていえば、見たことある以上知り合い未満とでもいいますか…」
「はっ! あんたの知り合いとかやめてよね!」
僕の回答が気に入らなかったのか、星宮あかりが不機嫌そうな顔で声を荒げる。
えっと、僕、知り合いだなんて言ってないよね?
「んー? 知り合いじゃない? それじゃ何もわからないのだけど…」
サシャが無表情なまま首を傾げる。
「えっと、本当に知り合いというほどじゃなくて。う~ん、なんて言えばいいかなぁ。偶然、この前事故に巻き込まれて…、そこでちょっと面識ができたぐらいみたいな? あえていえば、同郷ってことぐらいな関係かな?」
一緒に異世界召喚された、なんて説明をする訳にもいかないので、かなりふわっとした説明になってしまう。
「別にアンタと私のことはいいのよ! そんなことよりアンタとこの子達はどんな関係なのよ!」
「私達? そうね。私達は、この前のクエストで少しタケルに助けて貰ったの」
「は? あなた達もそんな大した仲じゃないじゃない!!」
サシャの説明にも星宮が嚙みつく。ただ、サシャは気にせず続ける。
「そうだね。私達もそこまでの仲ではないけど。少なくとも私達は、タケルなら信用できるかな? 実際、助けて貰ったこともあるし、ギルドでの評判もいい。このギルドでタケルを悪く言う人はいないわ」
えっ!? そうなの? なんでそんな高評価!? 思いがけず、自分の評価を知ってしまった。
「ふ~ん、コイツがね」
星宮が訝しげな顔で僕の顔を見てくる。
「タケルがあなたを信用できるというなら、パーティーへの加入を考えてあげてもいいよ」
「へ~、言ったわね! わかったわ! ほら、アンタ言いなさいよ!」
星宮が僕の胸倉を掴んでくる。
「ちょっ、ちょっと待ってよ。無茶言わないでよ。今言った通り、知り合いでもなんでもないんだから、そんなこと言えるわけないでしょ!」
「はぁー、仕方ない。ちょっと、こっち来なさい!」
溜息をついた後、星宮は問答無用で僕をギルドの隅の席に連れていく。
「アンタねぇ―、はぁ~、ゴミスキルのくせになんなの!?」
ゴ、ゴミ!? 流石にイラっとしたけど、耐えて話を聞く。
忍耐力のある僕を誰か褒めて欲しい。うん。後でエマさんに頼もう。
「いいわ! まず、アンタと私でパーティーを組みましょう。私の有能さを体験してから、彼女達に説明してあげて!」
「えぇ、ちょっと待ってよ」
「これはアンタにもメリットがあるわ! ダンジョンに入りたいんじゃないの?」
「えっ! 何で知ってるの!?」
「別に勘よ。あの子達もそうだし、その辺の冒険者は皆そう話してるんだから予想着くわよ」
くっ、やられた。単純な自分が恨めしい。
「じゃ、決まりね!」
星宮がサシャ達に、これからダンジョンに行ってくるので待っているように告げ、僕と星宮はギルドを後にした。