表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/20

1.ハズレスキル

 目を覚ますと目の前にとても綺麗な女性がいて、僕に微笑みかけていた。

 

 金髪に青い目。


 目鼻立ちの整った綺麗な顔に、修道服を着ていても隠せない抜群のプロポーション。


 ハッと息を吞むほどの美少女がそこにいた。


 純白の修道服を着ていることもあって、その姿はまるで天使のようだった。


 そうそれは映画のワンシーンのようで、これから何が起こるのか期待せずにはいられなかった。


 僕はドギマギしていた。


 「召喚に応じていただきありがとうございます。勇者様」


 召喚? 勇者?


 あぁ、確かここに来る直前に強い光に包まれたような……


 「私は、ハート聖教国の聖女を務めるアリシア・フォードと申します。勇者様! どうかこの世界をお救いください」


 アリシアと名乗った美少女は、両手を胸元であわせ祈るようなポーズで、真っすぐにこちらを見つめ語りかけてくる。


 「えっと・・・


 「異世界テンプレキター!!!」


  えっ?


  僕がアリシアの言葉に答えようとすると同時に知らない声が重ねられた。


 「おおお!アリシアちゃんかぁ~ 可愛いねぇ~! わかった! 俺に任せてよ!!」


 「ありがとうございます。勇者様! 早速ですが、皆様のステータスの鑑定をさせていただけないでしょうか」


 ん?「皆様」?

 

 僕は慌てて周りを見渡す。


 そこには、イケメン大学生といった風貌の男性やオタク趣味であろうと思わせる個性的な恰好の男性など、僕以外に4人の人物がいた。


 僕以外にもこれだけ召喚されていたんだ……。


 あのイケメンを除くと、ちょっと個性的な人達ばかりだな。


 もしかして、巻き込まれ召喚というやつだろうか?


 どう考えてもモブ顔の僕や彼らが勇者とは思えない。


 いや、でも希望は捨てちゃいけない。


 もしかしたら…




 「ヤマモト様のスキルは『くじ』です。これはユニークスキルですね」


  おおお!なんか凄そうなのが来た!


  鑑定水晶に僕が手を翳すと浮かび上がった文字を見て神官の男性がそう告げた。


 「あの、これはどんなスキルなんでしょうか?」


 「申し訳ございません。私も初めて見るスキルです。どのようなものかわかりません。より高度な鑑定スキルで確認するか、実際に試してみるしかありません」


 う~ん、神官さんそう言うってことは、この場に鑑定スキルを持った人はいないってことだよな。となると、実際に使ってみないとわからないかぁ。


 「ほぅ。レアスキルか。どれ使ってみせよ。この広間には結界が張ってある。万が一爆発などが起こっても何の心配もいらん」


 後方で偉そうにしているおじさんが傲慢な物言いで命令してくる。


 まぁ、この態度や恰好からして間違いなく王様なんだろうけどさ。


 そんな偉い人に逆らえるはずもなく、僕は言われるがままにスキルを試してみる。


 えっと、こうかな?


 僕はスキルを使おうと心の中で念じる。


 『くじを引いてください』


 という機械的な声が聞こえたかと思うと目の前に正方形の物体が現れた。


 上部に手を入れる穴が開いている。


 コンビニなんかで一定金額以上購入すると引かせてくれるアナログなくじの箱と一緒だ。


 ここに手を入れて引けばいいのかな?


 僕は意を決して手を入れ、くじを引いてみる。


 そして手にした札を見る。


 「ハズレ」


 とあった。


 えっ?


 『ハズレまた明日!』


 という、声とともにくじの箱はポンと効果音をだして消えてしまった。


 ん?これで終わり?何もないの?


 後、また明日って一日一回しか引けないの?


 結論から言うと、この後、3日連続で「ハズレ」を引き4日目の「当たり」で薬草を一束手に入れた。


 僕は、ハズレスキル、ハズレ勇者として王宮から追い出された。


 ちくしょう!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ