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裏目

「千夏ちゃんが見てる前で、神崎という女と闘ったのよね? 千夏ちゃんにはどこまで知られちゃったの?」

「全部だ。知られたというか、俺が話した」

「は!? なんで話しちゃったの!? 千夏ちゃんは一般人なのよ!? バカなの!? トンマなの!? アンポンタンなの!?」

「言い過ぎだろ! いっそ全部話してしまった方が確実に支配人から記憶を消されると考えたんだよ。中途半端にしておくと以前のように記憶が改竄されない可能性もあるしな」



 ただし黒田や沢渡達を殺したことは伏せたけども。どうせ改竄されるとはいえ、一般人まで殺したことを千夏に話すのは、なんだか抵抗があった。



「なるほど、そういう意図があったのね。バカと言ったのは撤回するわ」

「トンマとアンポンタンも撤回しろ!」



 千夏の意識が戻った時にはもう、俺の正体や転生杯に関する記憶は全て消えているはずだ。どの範囲まで消されてるかは分からないが、もしかしたら昨日二人で遊んだことも綺麗サッパリ忘れてるかもしれない。そう考えると少し寂しい気持ちになった。



「念のため確認しとくけど、消された記憶の部分は丸々空白になるのか? それとも何か代わりとなる記憶を入れられるのか?」

「ほとんどは後者よ。毒にも薬にもならない記憶を入れられるみたい。いきなり記憶から空白部分が生じたりしたら、それはそれで混乱が起きそうだし」

「まあ、そうだよな」



 ちょうどその時、千夏の口から小さな声が漏れた。間もなくその目がゆっくりと開かれる。よかった、目が覚めたようだ。



「秋人……さん……?」

「ああ、俺だ。無理して起きなくていい」



 最悪俺の存在そのものが記憶から消えてるんじゃないかと思ったが、とりあえずその心配はなさそうだ。



「……私、気を失ってたんですね。ごめんなさい、御迷惑をおかけして」

「気にするな。今はゆっくり休んでくれ」



 千夏の記憶がどのように書き換えられたのかは分からないが、違和感を持たれないように、できるだけ話を合わせないと――



「秋人さんから色々と信じられない話を聞かされたので、そのショックが大きかったみたいです……」

「……ん?」



 俺と春香は目を合わせる。いや、まさか。そんなはずはない。



「ち、千夏。昨日俺が話したこと、覚えてるのか?」

「えっと、転生杯や仮転生のことですよね? 勿論覚えてますよ」

「……マジで?」

「はい。というかあんな話を聞かされたら、そう簡単に忘れることなんてできません」



 うおおおおおおおおおおい!! ばっちり記憶残ってんじゃん!! どういうつもりだ支配人!! なんで頑なに千夏の記憶を改竄しないんだよ!?



「どうすんのよ、秋人」

「……どうしようか」



 俺は頭を抱える。完全に俺の考えが裏目に出てしまった。だがこれでハッキリした。千夏は俺ら転生杯の参加者と同様、記憶を改竄されることはない。理由は全く分からないが……。



「ところで、その方は……? 秋人さんと同じ、転生杯の参加者ですか?」



春香の方に目を向けながら千夏が尋ねる。



「……こうなった以上、ちゃんと話しといた方がよさそうね。ええそうよ、私も転生杯の参加者。青葉春香よ」

「貴女が春香さん……。あ、私は大宮千夏といいます。春香さんのことは秋人さんからお名前だけ聞いてました」



 今更だけど千夏の苗字は大宮っていうのか。



「ちなみに秋人の彼女でもあるわよ!」

「何言ってんだ春香!?」

「や、やっぱりそういうご関係だったんですね。こんなに綺麗な方なら納得です……」

「信じるな千夏! 俺に彼女はいないって言っただろ!? 春香もこれ以上話をややこしくすんな!」

「そこまでムキにならなくてもいいじゃない。ちょっとした冗談よ」



 千夏には俺に彼女がいるんじゃないか疑惑をかけられたばかりだから冗談にならないんだよ。



「アタシと秋人は転生杯の協力関係ってだけ。だから秋人の彼女になりたいなら遠慮しなくていいわよ。こんな男でよければだけど」

「おい、そういうことを軽々しく言うな。千夏にも迷惑だろ」

「わ、私は全然迷惑では……」



 顔を赤くして俯く千夏。だがすぐ何かを思い出したように顔を上げた。



「それではもう一人……。真冬さんという方も、こちらにいらっしゃるんですか?」

「ああ。そろそろ起きてくる頃かもな」



 噂をすればドアが開き、眠たそうに目を擦る真冬が顔を出した。



「お、ちょうどいいところに。おはよう真冬」

「……おはよ。なんだか騒がしいけど、何かあっ――」



 真冬が千夏の顔を見て、言葉を止める。やがて千夏が恐る恐る口を開けた。



「もしかして……東雲さんですか……!?」

「……大宮、さん」



 硬直する二人の顔を、俺と春香は交互に見る。



「え? 二人は知り合いなのか?」

「……はい。私が高校一年生の頃、東雲さんとは同じクラスでした」

「……ん。そんなに話したことはなかったけど」



 そうか。真冬が命を断ったのは二年前、高校一年生の時。つまり二人は同い年で、同じ高校にいたことになる。だから二人が顔見知りだったとしても何ら不思議ではない。


 どうしてそんな単純なことに今まで気付かなかったのか。以前真冬が千夏という名前に聞き覚えのあるような顔をしていた理由が今分かった。



おかげ様でポイントが順調に伸びており、とても励みになっております。

4月中に20000pt到達できたら最高です。

到達できなかったら……まあ……はい(苦笑)


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