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疑惑のデート

 仮に女子更衣室に突撃しても、お着替え中の女子達に気をとられて千夏の右腕を確認するどころじゃないだろうし、以後俺は変態として生徒達から距離を置かれることは必然だ。


 まあ別に高校生活がどうなろうと構わない身だから、捨て身の覚悟で突撃して女子更衣室の光景を脳内に焼きつけるのも悪く――って何を考えてるんだ俺は、趣旨が変わってるぞ。



「真冬、他に何か良い案はないか?」

「……あとは、こっそり【略奪】を発動してみるとか」



 なるほど。千夏に【略奪】を発動してスキルを奪えたら参加者、何も起きなかったら一般人ということになる。たとえ参加者だったとしてもスキルを奪って無力化できるので、どちらに転んでもいいわけだ。



「でも【略奪】を発動するには本人に直接触れないといけないし、それはそれで難しいな……」

「マッサージしてあげる、とか言えば自然に触れるんじゃない?」

「どこが自然だよ。親しい間柄ならともかく、まだ出会ったばかりだぞ」

「ならいっそハプニングを装って押し倒しちゃえば?」

「エロ漫画か! さっきからふざけてるだろ!」



 結局触るのはハードルが高いという結論に至り、痣の有無を確認する方向で作戦を立てることにした。それにスキルを持たない一般人に【略奪】を発動した場合どうなるか分からないという不安もあるしな。



「秋人、その子とは他に何か話さなかったの?」

「他か……。ああ、そういえば今度の休みに食事でもどうですかって言われたな。沢渡達から助けてもらった礼をしたいんだと」

「それってつまりデートに誘われたってこと!? 秋人も隅に置けないわねー」

「いや別にそういうんじゃ……」

「デート?」



 真冬が俺を睨みつける。なんだろう、妙な威圧感が……。



「男女が休日に食事なんて、デート以外の何物でもないでしょ。それで秋人はなんて返事をしたの?」

「断ろうとしたけど、直後に痣が反応して有耶無耶になったんだよな。明日ちゃんと断らないと……」

「それよ秋人!」



 春香が俺の顔を指差した。なんだか嫌な予感がする。



「そのデートの中で、千夏って子が参加者かどうか確かめればいいじゃない! きっと右腕を見るチャンスはいくらでもあるはずよ!」

「はあ!? いやいや駄目だろ! 転生杯の闘いに巻き込まないためにも、これ以上関わらせるべきじゃない!」

「私もそう思う」



 どうやら真冬も反対らしい。これで二対一だ。



「じゃあ、他に何か良いアイデアでもあるの?」

「それは……」

「なら決まりね! 今度の休みにその子とデートすること! だから絶対断ったりしちゃ駄目よ!」



 多数決もなく強引に決められてしまった。あまり気乗りしないが……まあいいだろう。何かあったら俺が全力で千夏を守ろう。



「千夏……」



 ふと、真冬がポツリと呟いた。なにやら千夏という名に思い当たる節があるような顔だ。



「どうした真冬?」

「……何でもない。デート、楽しんできて」



 どこか不機嫌そうに真冬は言った。




  ☆




 土曜日の朝。天気は良好。俺は春香と共に、千夏との待ち合わせ場所に向かっていた。



「っておい。なんで春香が付いてきてるんだよ」

「そんなの面白そ――コホン。秋人のサポートをする為に決まってるでしょ。アタシは真冬みたいに監視カメラをハッキングするとか高度な真似はできないし。デートが始まったらちゃんと隠れるから安心して」



 今面白そうって言いかけたよな? ぶっちゃけ千夏の痣の有無よりそっちが目当てだろ。



「問題は、どうやって千夏の右腕を確認するかだな……」

「心配ご無用よ秋人。アタシが色々と作戦を考えてきたから、デート中に指示を出してあげる。というわけで、はいこれ」



 そう言って春香が差し出したのは、以前愛城との闘いでも役立った、真冬自作の超小型インカムである。



「デートの最中ずっとスマホをイジってたら相手に失礼でしょ? だからインカムを使ってバレないように指示を出そうってわけ」

「……なるほど」



 俺はインカムを耳に装着した。春香が考えた作戦か。不安しかないが、俺に良い案があるわけでもないので、とりあえず乗ってみるか。



「真冬はアジトで留守番か?」

「ええ。一応誘ってみたんだけど、なんだか今回は気が進まないみたい。こんなに面白そうなこと、見ないと損だと思うのになー」



 面白そうって言っちゃったよ。まあ真冬も俺と千夏のデートには反対してたし――っていやいやこれはデートじゃない。春香がデートデート言うからつい流されてしまった。あくまで目的は千夏が一般人か否かを確かめることだ。





 やがて俺達は待ち合わせ場所である公民館前に到着した。まだ集合時間の十分前だというのに、既に千夏はそこで待っていた。



「へー、あの子が千夏ちゃんね。なかなか可愛いじゃない。んじゃ、アタシは近くで見守ってるから。頑張りなさいよ秋人!」



 春香は俺の背中を叩き、この場を離れた。



「あっ、秋人さん!」



 千夏は俺の姿を見つけると、太陽のような笑顔で俺に手を振ってくれた。



「すまん、待たせたよな」

「い、いえ! 全然待ってないので気にしないでください!」

「……ちなみに何時くらいから待ってた?」

「えっと……。十時くらいからです」

「二時間も前から!? 全然待ってるだろそれ!」

「なんだか今朝はジッとしていられなくて、つい早く家を出ちゃいました。すみません」

「まあ、別に謝らなくていいけどさ」



コロナ対策にはなりませんけどブックマークと評価をよろしくお願いします。

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