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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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こんばんは

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「しっかし惜しい奴を亡くしちまったなあ。ああ、ネタバラシをしとくと、朱雀のスキルは【変身】ではなく【影送り】つってな。簡単に言うと死んだ人間に成り代われるスキルだ。便利な能力だが、如何せん発動条件が厳しくてなあ。だから俺様がスキルを最大限に生かせるように完璧な作戦を立ててやったってのに、ガッカリだぜ」



 やはり真冬の推測通り、スキル名自体が偽りだったようだ。自ら明かすとは驚きだが、脱落した参加者のことなどもはやどうでもいい、ということか。朱雀のスキルは対象の記憶も得られるので、そこから俺を含めた参加者の様々な情報を取り込み、赤来に伝えていたのだろう。



「おや? その反応だと俺様の作戦はとっくにバレちまってたのか?」

「ああ。頼りになる仲間のおかげでな」

「なるほどなるほど。そいつには興味があるなあ……」



 そう言いながら赤来が顔を上げる。その目線の先には真冬のドローンが飛んでいた。どうやら真冬の存在にもとっくに気付かれていたようだ。



「お前だろ、チート野郎を陰でサポートしてる奴は。この俺様を出し抜くとはやるじゃねえか、気に入ったぜ。どうだ? こんな奴等は見捨てて、俺様と組まねえか? 俺様とお前の頭脳が合わされば敵なしだぜ」

「ああ!? 何をふざけた――」

『ふざけないで』



 俺が反発するより先に、どこからか真冬の声が響いた。どうやら町内放送のスピーカーのようだ。



『私は今のチームを抜けるつもりはないし、貴方のような参加者と組むくらいなら死んだ方がマシ』

「かーっ、女の子二人に連続でフラれちまった! 俺様ってばモテねーなあ!」



 赤来がドローンに人差し指を向ける。空気弾丸を放ったらしく、直後にドローンは粉々に砕け散った。



「……そういやお前、昼山はどうした?」

「昼山? あー、あの動物大好き天才クンのことか。いやー、あいつ強かったなー。サシで闘っても勝てねえと思って逃げてきちまったぜ」



 まさか昼山が負けたのかと一瞬冷や汗をかいたが、そういうことか。あいつがそう簡単にやられるはずないもんな。



「それじゃここに来たのは失敗だったな。昼山に代わってお前は俺が倒してやる」

「おっ、やる気マンマンってか。朱雀と闘ったばかりなのに元気だねえ」



 こいつを野放しにしておくのは危険だと俺の直感が告げている。立て続けの戦闘は正直キツいが、ここで倒しておかなければ後に大きな脅威となるだろう。


 あいつは【空気】のスキルで空中を移動できるようだが、それは【重力】を持つ俺とて同じ。たとえどこに逃げようが追いかけてやる。



「いいぜ、受けて立ってやる。と言いたいところだけどよー。俺様も天才クンとの闘いで疲れてんだよなー。おまけに右目も潰されちまったしぃ?」

「はあ……?」

「しかもこっちが一人なのに対し、そっちは二人。ハハッ、ムリムリ勝てませーん! というわけで闘いませーん!」



 なんだこいつ。こんな恥ずかしげもなく闘いを拒否する参加者は初めてだ。



「赤来はそういう奴よ。勝ち目が薄い勝負は絶対にしない主義なの」



 苦い顔を浮かべながら春香が言った。赤来がここまで生き残れたのは、そういう図太さのおかげというのもあるのだろう。



「……お前がそのつもりでも、俺はお前を逃がすつもりはない」

「いーや、お前は俺様を逃がすことになる。な・ぜ・な・ら……」



 赤来が不敵な笑みを浮かべながら、パチンと指を鳴らす。次の瞬間、四方から大きな爆発音が鳴り響いた。



「お前、何をした!?」

「ここに来るまでの間、あちこちに空気爆弾を仕掛けておいた。それらをまとめて起爆させたのさ」

「何だと……!?」

「この辺は民家が多いし、結構な被害が出てるだろうなー。今ならまだ救える命があるんじゃねーか?」



 周辺一帯から人々の悲鳴が聞こえてくる。早く助けに行かないと……だが赤来を逃がすわけには……!!



「そんじゃ頑張れよ、正義のヒーロー様!」



 そう言って、赤来は夜空の彼方へ飛び去っていった。



「このっ……待て!!」

「秋人、今は一般人の救助を優先しましょ!!」

「くっ……!!」



 激情を押し殺すように、拳を握りしめる。確かに赤来を追いかけていたら、救えたはずの命も救えなくなるだろう。



「……そうだな。行こう」



 赤来の追跡を断念し、俺と春香は人々の救助に向かった。




 翌日には例のごとく支配人によって赤来達との闘いの痕跡は全て消されたため、どれくらいの犠牲が出たのか、今となっては分からない。一人でも多くの命を救えたのなら幸いだが……。


 赤来との決着はいずれ必ずつける。俺はそう強く決意した。



  ☆



 気が付くと、俺は〝例の空間〟の中に立っていた。あの世とこの世の狭間である。なんかもう慣れてきたな。



「こんばんば、月坂秋人さん」



 間もなく空間の揺らめき、そこから転生杯の支配人が姿を現した。また俺が寝ている間に俺の意識をこの空間に呼び寄せたらしい。



「ったく、何がこんばんはだよ……」

「四度目ともなるとさすがに反応が薄いですね。何かサプライズを用意した方がよかったでしょうか?」

「結構だ。また俺とお喋りがしたくなったのか?」

「大当たりです」



 パチパチパチと拍手する支配人。思わず溜息が漏れる。




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