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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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愛の告白?

「あれ、あれ? どうして涙が……。すみません……」



 かけがえのない宝物のように、若杉は胸の前でペンダントを握りしめる。俺と真冬は何も言わず、この場を後にした。


 彼女との出会いで俺は一つの答えを得た。たとえ記憶が改竄されようと、心まで改竄されることはない。心に刻まれた細道との思い出が、彼女に涙を流させたのだろう。


 それはきっと千夏も同じだ。たとえ俺達のことを忘れてしまったとしても、心には俺達との思い出が残っているはずだ。必ずその思い出と一緒に、千夏を取り戻してみせる。そう強く決意した。




  ☆




 若杉の自宅を訪れた頃には日付が変わり、終電を過ぎてしまっていた。俺はネットカフェにでも泊まろうかと提案したが、真冬は「そんなの嫌」と断固拒否。結局真冬が呼んだタクシーに乗ってアジトに帰還した。深夜料金に加えて結構な距離だったのでかなり高額となったが、真冬は涼しげな顔で支払った。金持ちはやることが大胆だ。


 それから数時間の睡眠の後、午前七時に起床。正直もっと寝ていたかったが、今日も学校があるのでそういうわけにはいかない。我ながらハードスケジュールだ。



「昨日、そんなことがあったのね……」



 朝食の最中、春香が呆気に取られた顔で呟く。昨日の出来事について、春香には真冬の方から伝えてくれた。



「それよりなんでアタシに何も言ってくれなかったのよ。仲間外れにされたみたいで悲しいじゃない」

「春香は友達に勉強を教えたりアイドル部の活動だったりで忙しいから余計な負担を掛けたくない、って秋人が」

「……秋人らしいわね。実際忙しかったけど。てか友達って朝野のこと?」

「ん。違うの?」

「ただ一方的に懐かれてるだけよ」



 春香と真冬が話す中、俺は九年前の事件の真犯人について考えていた。


 細道は42の痣を持つ転生杯参加者でありながら、真犯人ではなかった。ならば現場に血で書き残されていた〝42〟は一体何だったのか。あの時の光景はハッキリと脳裏に焼き付いているので、数字の見間違いということは有り得ない。


 まさか真犯人は攪乱目的で適当な数字を残したのだろうか。だとすると唯一の手掛かりだと思っていた〝42〟は何の関係もない数字ということになる。これでは完全な振り出しに――



「秋人! 秋人!!」

「……ん? どうした春香?」

「やっと返事した。さっきから何度も呼んでたのよ?」

「すまん、考え事してた」



 そう言いながら、俺はタバスコを口に流し込んだ。



「って秋人!? またタバスコ飲んでるわよ!!」

「それがどうかしたか?」

「どうかしたかって……」

「それより悪かったな春香、隠し事してて。お詫びにこの卵焼きをやるから」

「わーいありがとー……って、この卵焼き作ったのアタシなんだけど!」

「はは、確かにこれじゃお詫びにならないな。じゃあこのタバスコをやるよ」

「もっといらないわよ!」

「そうか? こんなに美味しいのになあ」

「……これは重症ね」



 すると真冬が深刻な顔で、自分の手を俺の手に重ねてきた。



「秋人、今日の学校は休んだ方がいい。秋人がタバスコを飲むのはまともな精神状態じゃない時だから」

「……そうする」



 真冬に言われて初めて、俺は自分がヤバい状態にあることを自覚した。あまり記憶にないけど、千夏がいなくなった直後もこんな感じだった気がする。やはり復讐が空振りに終わったことのショックが大きいようだ。



「まあ、気持ちは分かるけどね。アタシも雪風が復讐の相手じゃないと分かった時は、少なからず動揺したから」



 そういえば春香も似たような経験をしてたな。俺は春香ほどメンタルは強くないので、気持ちを切り替えるまで時間が掛かりそうだ。



「春香は俺が休んでも学校に行く気マンマンだよな?」

「当然。今日もアイドル部の活動あるし!」



 春香を一人で学校に行かせるのは不安だ。そこで俺は携帯で朝野に連絡し、アジトまで来てほしいと伝えた。



「おっはよー秋人くん!」



 約三分後。玄関のドアを開けると、いつもながら元気そうな朝野が立っていた。



「おはよう。やけに早かったな」

「ふっふっふ。少女戦士のスピードを甘く見てもらったら困るにゃ!」



 お決まりの【少女戦士】のスキルで変身し、星に乗ってひとっ飛びといったところか。非常時以外はそういう人目に付く行動はできるだけ控えてほしいものだが、呼んだのは俺なので大目に見よう。



「それで私に何の用かにゃ? ハッ! もしかして、愛の告白!? まさか秋人くんがそんなふうに私を見てたなんて……!!」

「こんな朝っぱらから告白なんてするかよ」

「えっと、私も秋人くんのこと好きだし嬉しいんだけど、付き合ったりするのはもっとお互いのことを知ってからかにゃー。だから今はごめんなさい!!」



 なんかフラれてしまった。ツッコむ気力もないし、さっさと本題に入ろう。



「実は今日一日、朝野に春香のボディガードをお願いしたいんだ」

「ボディガード?」

「訳あって俺は今日学校を休むから、代わりに朝野ができるだけ春香の傍にいてやってほしい。また雪風のような参加者が現れないとも限らないしな」




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