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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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真冬の苦悩

「まったく、そんなんだから赤点取るのよ。ほら行くわよ」

「お願いしますにゃ! というわけで秋人くん、春香ちゃん借りるね!」

「ああ。頑張れよ」



 何だかんだ朝野がいなくなったら寂しくなりそうだし、再々々テストに合格して退学を回避してもらいたいものだ。



「勉強場所は、やっぱり図書室がいいかしら」

「それが私、図書室は出禁になってるんだよね」

「出禁!? 何したのよアンタ!?」



 そんなやり取りをしながら、春香と朝野は遠ざかっていった。アイドルをやってるという春香の元仲間のことは気になるが、それは後で聞くとしよう。




  ☆




 一方その頃、アジトの作戦会議室では、いつものように複数のモニターと睨み合う真冬の姿があった。


 現在の真冬の仕事は主に三つ。一つ目は常日頃から行っていることで、ハッキングした監視カメラや私物のドローンを通じての都内の監視。無論、目的は転生杯の参加者を見つけ出すことだが、ここ最近は不作である。収穫と言えるのは、あちこち徘徊している黒フードの怪しげな人物を発見したくらいで、まだ参加者という確証は得られていない。特に目立った動きはないので、ただの不審者の可能性が高そうだが、念の為その人物のマークを続けている。


 二つ目は、一つ目にも含まれていることだが、千夏の捜索。これは千夏を取り戻す為にも重要な任務である。しかしニーベルングとの闘いの直後に遭遇して以来、手掛かり一つ掴めていなかった。秋人も春香もハッキリとは言わないが、一刻も早く見つけ出してほしいと思っているはずだ。


 三つ目は、広瀬から奪ったUSBメモリの復元。中には参加者のデータが入っており、現在80%ほどまで復元に成功したが、残念ながらほとんどが既に脱落した参加者のデータだった。もう闘うことのない者達の情報を得たところで何の役にも立たない。



「……はあ」



 無意識に真冬は溜息を漏らす。ここのところ大した成果を挙げられていないことに、真冬は少なからず負い目を感じていた。仲間のサポートが自分の役割だというのに、これでは存在意義がないも同然だ。お荷物になることを懸念して夜神のもとから去った意味がない。きっと秋人達は気にしないだろうが、それは真冬のプライドが許さなかった。


 しかし真冬は冷静なので、決して焦ることはない。都内の監視をしつつ、USBメモリの復元作業を進める。徒労に終わるかもしれないが、有益な情報が得られる可能性は決してゼロではない。


 やがてまた一人、新たな参加者のデータが顕在化した。どうせ今回も脱落者だろうと、大した期待はしなかったが――



「これって……!!」



 思わず真冬は立ち上がり、モニターを凝視する。それは予想だにしない参加者のデータであった。




  ☆




 学校で春香達と別れた後、いつもより時間に余裕ができたので、俺はある目的の為に街の方へ来ていた。それは千夏の捜索だ。真冬に任せっきりというのも悪いので、自分の足で探そうと思い至った。


 と言っても手掛かりはないし、真冬でも見つけられないのに俺が見つけられるとは思えないが、何もせずにはいられなかった。この街に来たのは、ここが二度に渡って千夏とデートした場所だからだ。


 その時のデートコースをなぞるように、俺は歩く。レストランで食事をしたり、グランドワンで遊んだり、映画を観たり……。千夏との楽しかった思い出が蘇り、つい涙が出そうになる。



(秋人さん!)



 ふと千夏の声が聞こえた気がして、俺は周囲を見回す。そして一人のショートボブの女子に目が留まった。あの後ろ姿……まさか!



「千夏!!」



 すぐさま俺は駆け寄り、その女子の肩を掴んだ。



「……な、何ですか?」



 振り返り、怪訝な顔で俺を見る女子。千夏ではないと分かり、俺は深く落胆した。先程の声は幻聴だったようだ。



「違う……千夏はこんな地味な顔じゃない……」

「はあ!?」



 あ、しまった。声に出てた。



「すみません、人違いでした」

「何なのよもう……!!」



 彼女は立腹しながら去っていった。無意識とは言え、初対面の女子に凄く失礼なことを言ってしまった。それに今の時代、容姿を貶すのは風当たりが強いと聞くし、気を付けよう。





「……はあ」



 ひとしきり歩いた後、俺は嘆息した。案の定と言うべきか、千夏は見つからない。もしかしたら千夏もこの思い出の街に来てるかもしれないという一縷の希望に懸けたが、千夏が俺達のことを忘れてしまったのなら、俺とデートしたことも覚えてるはずがない、か……。



 千夏、一体どこにいるんだ。まさか誰かにやられて既に脱落してたり――馬鹿なことを考えるな。千夏は必ず生きている。せめて何か手掛かりでもあれば……。


 その時、千夏とのデート中に立ち寄った占い師のことを思い出した。そうだ、あの人の占いは驚くほど当たってたし、もしかしたら千夏の所まで導いてくれるかもしれない。確か名前はエミリアさんだったよな。


 俺は歩きながら、自嘲の笑みを浮かべる。ちょっと前まで占いなんて全く信じてなかった俺が、占いに頼る日が来るとはな。しかし今はそれくらいしか捜索の手段が思いつかなかった。問題は、今でも同じ場所で占いをやってるかどうか……。




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