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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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謎の女

「……私がバテてる? 何を言ってるのかしら」

「またまた惚けちゃってー。実はだいぶ無理してるでしょ? いくつもスキルを使ってたせいかにゃ?」



 図星であった。真冬が言っていたように、スキルは身体への負担が大きい。ここまで春香は【怪力】【潜伏】【操縦】【氷結】という四つのスキルを発現させており、その度に負担が蓄積していた。今の春香はいつ限界が来てもおかしくない状態である。それを見抜くあたり、ああ見えて朝野の洞察力は馬鹿にできないようだ。


 春香が朝野から生前の話を聞き出そうとしたのは、その間に少しでも身体を休めようという魂胆もあったのだが、残念ながら大した時間稼ぎにはならなかった。


 これ以上のスキル因子の摂取は危険が伴うだろう。だが自身の力だけで勝てる相手ではないことは春香も分かっている。【逆行】が自分の身体にも有効ならいいのにと、今更ながら春香は己のスキルの欠点を嘆いた。



「いっくよー!! 必殺〝綺羅星弾・天〟!!」



 朝野が叫ぶのと同時に、とてつもなく大きな星が上空に出現した。雪風の巨大氷人形を崩壊へと追い込んだ、朝野の真の必殺技である。間もなくあの星から凄まじい光が降り注ぐことになる。



「……!!」



 まずい、と最大の危機感を覚える春香。綺羅星弾・天の威力は春香もその目で見ている。あれだけの規模の攻撃となると逆行壁で打ち消すのも不可能だ。今の身体の状態では自力で離脱するのも難しい。


 となると、やはりここはスキル結晶体に頼るしかない。【潜伏】で地中に潜ったところで回避はできないだろう。ならば引き当てるべきスキルは【入替】ただ一つ。このスキルで遠くにある適当な物と自分の身体を入れ替え、星の光の範囲外に避難するしかない。


 一か八か。春香は強く祈りながら、スキル結晶体を口に入れた。



「そんな……」



 直後、春香は絶望した。発現したスキルは【息吹】――無生物に命を吹き込むことができる。この状況では何の役にも立たない能力である。運にも見放されたようだ。しかも所持できるスキルは二つまでという縛りにより、【息吹】の効力が残っている間は新たなスキル因子を取り込むこともできない。


 更には追い打ちをかけるように強烈な頭痛に襲われ、春香は膝をついた。どうやら限界が来てしまったようだ。これ以上はスキルの負荷に身体が耐えられそうにないので、どのみちスキルを得ることはできない。



「バイバイ、春香ちゃん。楽しかったよ」



 飛行用の星に飛び乗り、春香に告げる朝野。もはや打つ手はない。春香の脳裏に〝死〟の文字が過ぎった――




  ☆




 夜の七時過ぎ。アジトのリビングでは、真冬が一人でインスタントラーメンを食べていた。いつも晩ご飯を作ってくれる春香がまだ帰ってきておらず、空腹に耐えかねた真冬は気付いたら鍋に水を注いでいたのである。


 真冬は料理が壊滅的に下手なので、自分で作るという選択肢がない。こういう食べ物も嫌いではないが、やはり春香の手料理には敵わないと、真冬は麺をすすりながら思った。


 それにしても、秋人と春香の帰りが遅い。確かアイドル部の活動は六時までのはずなので、いつもならとっくに帰ってきている時間だ。長引いている可能性もあるが、それなら秋人から連絡くらい来そうなものだ。


 もしかしたら秋人達の身に何かあったのかもしれない。監視カメラやドローンを通じて陸奥高校及びその周辺地域の状況確認は随時行っているが、六時の段階ではこれといった異常は見られなかった。何かあったとしたら、この一時間の間ということになる。


 ひとまずこちらから連絡してみようと、真冬が携帯を手に取ったその時、ちょうど着信音が鳴った。秋人か春香だろうと思って携帯を見たところ――画面に表示されていたのは「夜神恋歌」という名だった。真冬は溜息交じりに通話ボタンを押した。



『よかった、出てくれたか。着信拒否されていたらどうしようかと思っていたよ』

「……どちら様でしょうか。私は貴女のことなど存じ上げないのですが」

『おいおい、それはないだろ。久し振りだな真冬。元気にしてたか?』



 携帯から聞こえてくるのは女の声。真冬はこの夜神という女と面識があった。



「何の用? とっくに貴女とは縁を切ったはずだけど」

『冷たいこと言わないでくれよ。今度一緒にお茶でもどうかな。久々に二人きりでガールズトークでもしようじゃないか』

「……用がないなら切るけど」

『待て待て。用件ならちゃんとある』

「何? 早く言って」

『……実は今、お前の仲間の一人を預からせてもらっている』



 この夜神の言葉に、真冬は怪訝な表情を浮かべた。



「私の仲間を誘拐したってこと?」

『流石、理解が早い。場所は知っての通りだ。仲間が心配なら会いに来るといい。待っているよ、真冬』



 そこで通話は切れた。秋人がそう簡単に捕らわれるとは思えないし、千夏のことを知られている可能性も低い。消去法で攫われたのは春香だと真冬は推察した。夜神がハッタリや嘘を言う人間でないことを真冬はよく知っている。誘拐したのは本当だろう。


 とにかく秋人に知らせなければ。真冬は秋人に電話をかけた。




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