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【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】  作者: ダイヤモンド


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唐突なバトル

『やっほー春香ちゃん! ちょっと春香ちゃんとお話したいから、学校近くの河川敷で待ってるよ! 絶対来てね! 朝野より』



 書かれていたのはこの文章のみ。部員達の目が点になる。封筒の正体はラブレターでもファンレターでもなかった。



「え……これだけ?」

「告白、ってわけじゃなさそうね」

「悪戯ってこと? なーんだ」

「てか朝野って誰だろ。春香は知って――」



 春香は苛立ちを隠せない顔で、手紙を力強く握り潰した。



「あの馬鹿……!!」



 予想外の春香の行動に、部員達はギョッとした。



「ど、どしたの春香……?」

「顔怖いよ……?」

「……え? あー、ごめんごめん! 何でもないから気にしないで! それじゃアタシ帰るから! お疲れ様でしたー!」



 春香は部室を出ると、足早に河川敷へと向かった。





「あっ、春香ちゃん! ちゃんと来てくれて嬉しいにゃ!」



 手紙に書かれていた通り、河川敷では朝野が待っていた。春香は呼吸を整えつつ、朝野を睨みつける。



「何だったのよ、あの手紙。呼び出すだけなら携帯とかでいいでしょ」

「いやー、ラブレター風に呼び出した方が面白いかなと思って! どうだった!? ドキドキした!?」

「ラブレターなんて今まで何枚も貰ってるし、今更ドキドキしないわよ」

「そうなの!? 流石は春香ちゃん、モテモテだにゃー」



 ちなみに以前朝野が秋人に似たような手紙を仕掛けたことがあったが、秋人は見事に引っ掛かっていた。



「まったく良い迷惑よ。こっちは部活が終わったばかりで疲れてるし、アンタと話すくらいなら早く帰りたいだけど」

「ひどい! 前から思ってたけど、春香ちゃんって私に対してちょっと冷たくないかにゃ!?」

「……この際だからハッキリ言うけど、アンタのこと苦手なのよ」

「ガーン!! 私は春香ちゃんのこと大好きなのに!! 共に苦境を乗り越えて強敵を倒した仲でしょ!?」

「そう言われても、苦手なものは苦手なのよ」

「そ、そんにゃあ……」



 ショックのあまり涙目で膝をつく朝野であった。



「それで、アタシに話って何よ?」

「……聞いたよ。春香ちゃん達が、ニーベルングって組織と闘ったこと。それと……千夏ちゃんのことも」



 いつになく物悲しい表情で、朝野が語り始めた。



「千夏ちゃん、とっても優しい子だったよね。私に勉強を教えてくれたり、私の無茶振りに付き合ってくれたり。千夏ちゃんとは最高の友達になれると思ってたから、凄く悲しかったにゃ」

「……そう」



 きっと秋人から話を聞いたのだろうと春香は推察した。しかりこの口振りだと、千夏が転生杯の参加者として蘇ったことまでは知らないようだ。


 実際には、朝野が話を聞いたのは秋人ではなく昼山からである。朝野の仲間があの場に居合わせていたことなど、春香には知る由もなかった。



「確かに千夏ちゃんのことは残念だったけど……。そういう話をする為だけに呼び出したわけじゃないでしょ? いいから本題に入りなさいよ」

「んー、それもそうだね。私も湿っぽい話は苦手だし。私が春香ちゃんをここに呼んだのはね……」



 わざとらしくタメた後、朝野は春香を指差して言った。



「春香ちゃんとバトルする為にゃ!」

「……は?」



 思いもよらない朝野の発言に、唖然とする春香。



「前に炎丸って人とこの河川敷で闘ったんだけど、広いし人通りも少ないし、バトルにはうってつけの場所なんだよね。だからここに春香ちゃんを呼んだんだにゃ」

「アンタ、さっきから何言って――」



 朝野はスキル【少女戦士】を発動し、戦闘時の姿に変身した。



「いくよ春香ちゃん! 必殺〝綺羅星弾〟!!」

「なっ、ちょっ、待ちなさいよ!!」



 春香が状況を呑み込めないまま、朝野がステッキから星の弾を放つ。春香は後方に跳んで辛うじて回避した。



「何よ急に!? ぜんっぜん意味分かんない!! なんでアタシとアンタが闘わないといけないのよ!!」

「別におかしくはないでしょ? 私も春香ちゃんも転生杯の参加者。あくまで敵同士なんだから」

「それはそうだけど、休戦って話だったでしょ!?」

「もう休戦は終わりってことだにゃ! 必殺〝綺羅星弾・連〟!!」



 朝野が次々と星の弾を放ち、春香は回避し続ける。どうやら冗談というわけではなさそうだ。確かに敵同士ではあるが、いくらなんでも突拍子がなさすぎる。何を考えているのか全く分からない。だから苦手なんだと春香は辟易した。



「だいたいアンタ、秋人と決着つけたかったんじゃないの!? なんでアタシなのよ!!」

「忘れちゃったの? 前に春香ちゃんとも闘ってみたいって言ったこと。それを果たす時が来たんだにゃ!」

「だからって……!!」



 朝野は完全に春香と闘う気のようだ。もう何を言っても止まらないだろう。だがこんなことで命を危険に晒すなんて御免だし、そもそもバトルは秋人の役目だ。春香は秋人を呼ぼうとポケットに手を伸ばすが――その手を止めた。



『自分の身くらい自分で守れるわ』

『もっとアタシの力を信じてくれてもいいんじゃない?』



 以前秋人に言った自分の台詞が春香の脳裏を過ぎる。あんなことを言っておきながら秋人に助けを求めるのは、なんだか格好がつかない。




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