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深夜の決闘

「はあ!? ばばばば馬鹿なことを言うな!! 言っただろ、もうあの時の僕とは違う!! 僕が本気を出せば君なんて瞬殺だ!!」



 図星か。しかし俺としても一般人を巻き込むことだけは絶対に避けたいので、こいつの判断は尊重しよう。



「でもこうして俺の前に姿を見せたってことは、決着をつける気になったんだな?」

「ああ。しかし問答無用で排除するのは可哀想だから、君にチャンスをあげよう」

「チャンス……?」

「君がこれまでの行いを猛省し、はるにゃんファンクラブに入るのなら、君の命は奪わないと約束しよう。はるにゃんを応援する者同士、仲良くしたいからね」

「……………………断る」

「今だいぶ葛藤したよね?」

「し、してねーよ!」



 春香からはるにゃんファンクラブの存在を聞かされた時は正直心が動いたが、その実態を知った今となってはもうそんな気持ちはない。こんな訳の分からん連中の一員になるのはゴメンだ。それに……。



「そうか、それは残念だ。となると、やはり君とは闘うしかなさそうだね」

「俺は最初からそのつもりだ」



 こいつが転生杯の参加者である以上、闘わないという選択肢は存在しない。いくらはるにゃんファンだろうと仲良しごっこをするつもりはない。



「でも今この場で転生者同士が闘えば大騒ぎになるのは明白だ。そこで提案なんだが、真夜中にこの学校のグラウンドで闘うというのはどうだろう? それなら邪魔が入る心配もない」

「……いいだろう。受けて立ってやる」

「では時間は午前一時としよう。そして君は思い知ることになるだろう、自分ははるにゃんの隣りには相応しくないとね!! ハハハハハ!!」



 高らかに笑いながら、佐竹は俺の前から去っていった。



「結局、何の話をしてたんだ……?」

「さあ……」

「待ってくださいリーダー!」



 野郎共は困惑気味で佐竹の後を追う。まさかこんな流れで転生杯参加者と闘うことになるとはな……。



「っておい待て!! はるにゃんフィギュアは!?」



 気付いた時にはもう、佐竹達の姿はなかった。俺はその場で膝をつき、絶望に打ち拉がれたのであった。




  ☆




 午前一時。不気味なほど静まり返った暗闇の中、俺は陸奥高校のグラウンドに着いた。まるで俺を待っていたかのように、雲に隠れていた月が顔を出し、グラウンド全体を明るく照らす。その中央には佐竹が不満げな顔で立っていた。



「遅い! 僕は一時間以上も待ってたんだぞ! もう何時だと思ってる!?」

「いや午前一時って指定したのお前だし、ちゃんと時間通りに来ただろ」

「……ふっ。まあ、怖じ気づかずに来たことだけは褒めてあげよう。もっとも君はこの闘いで、己の愚行を呪うことになるだろう!」

「はいはい」



 佐竹の御託をあしらいながら、グラウンドを軽く見回す。わざわざ時間と場所を指定してきたのだから、予め何か罠を仕掛けている可能性は十分ある。決して油断は――



「もしや罠の警戒をしてるのかな? そんな卑怯な手は使わないから安心していいよ。そう、これはどちらがはるにゃんに相応しい男かを決める崇高な闘いなのだから!」



 いつからそういう勝負になったんだよ。



「それよりお前、俺にはるにゃんフィギュアを譲るって話はどうなったんだよ」

「あんなの嘘に決まってるじゃないか。馬鹿だなあ」



 こ、こいつ……!!



「まあまあ落ち着いて。はるにゃんフィギュアならこの中にある。どうしても欲しいのなら力ずくて奪い取ることだね」



 佐竹は腰に掛けていた大きめの巾着袋の口を広げ、玩具を欲しがる子供をおちょくるかのように、はるにゃんフィギュアが入ったケースをチラ見せしてきた。なんとも腹立たしいが、要はこいつを倒せばいいわけか。尚更負けられないな。



「しかし僕が勝った時に得られる物がないのは不公平だ。よって僕が勝ったら……」

「お前が勝ったら?」

「は、は、はるにゃんに直接会わせろ!! いえ会わせてくださいお願いします!!」



 その場で土下座をする佐竹。プライドないのかよこいつ。



「この際だからハッキリ言おう! 僕は君が羨ま――じゃなくて憎い! 分を弁えずはるにゃんと仲良くしてる君が! 僕だってはるにゃんとお喋りしたい!! はるにゃんの趣味とかはるにゃんの好きな物とか、はるにゃんの事をもっと知りたい!!」



 とうとう本音をぶちまけやがった。



「いや会わせろって言われても、転生杯のルール的にお前が勝つ時イコール俺が死ぬ時なんだから、会わせようがないだろ」

「あ、そうか……」



 馬鹿だろこいつ。なんにせよこいつを会わせたら春香が転生杯の参加者だとバレて面倒なことになるのは明白だし、それは避けたいところだ。


 ま、そんな心配は無用だろう。闘うのが怖くてずっと引き籠もってた臆病者に、俺が負けるはずがない。



「ふっ、まあいい。とりあえず僕は君という邪魔者を排除できればそれでいい。願い続けていればきっと、はるにゃんとお喋りする機会だって舞い込んでくるはずだ!」

「残念ながら、そんな機会は永遠に訪れない。何故ならお前はここで俺に敗れて脱落するからだ。まあちょっとしたメッセージ程度なら、遺言代わりに俺から春香に伝えといてやるよ」




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