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アイドルオタク

「友達と一緒にいるのは楽しいんだけど、16歳と17歳の子しかいないじゃない? 6歳のアタシがその子達に合わせるのって結構苦労するのよね。だからお昼ご飯の時くらい解放されたいのよ」

「俺、実年齢26歳なんだけど……」

「秋人は別よ。全然気を遣わなくていいから一緒にいて楽だし」

「……そうか」



 春香が自分の弁当のトマトを俺の弁当に入れる。俺に心を許してるってことだろうし、悪い気はしない。それはそれとして。



「しれっと俺の卵焼きと自分のトマトを入れ替えたよな?」

「さあ、何のことかしら。あ、この卵焼きおいしっ」

「ったく。別にトマトは嫌いじゃないからいいんだけど――」



 その時、不意に何者かの視線を感じ、俺は素早く背後を振り向いた。



「どうしたの秋人?」

「いや……」



 今、誰かに見られていたような……。だが屋上にいるのは俺と春香の二人だけだ。気のせいか……?



「あら、もうこんな時間。そろそろ行かないと」

「アイドル部か?」

「そっ。今日も放課後にライブやるから、その打ち合わせとか振り付けのチェックとか諸々ね。秋人もライブ見に来るでしょ?」

「そんなの当たり前――ゴホン。まあ、せっかくだしな」

「ふふっ。秋人もすっかりアタシ達のファンね」

「いや別にそんなんじゃ……!!」



 前にも言ったが決してライブが楽しみというわけじゃない。いつどこに転生杯の参加者が現れるか分からないし、あくまで春香を守る為だ。もう一度言うが、決してライブが楽しみというわけじゃない。



「それじゃ行ってくるわね」

「ああ。頑張れよ」



 俺は春香の背中を見送った。少し前の俺なら部活動も程々にしておけよと注意してただろうに、俺も随分と寛容になったもんだ。




 そして放課後。校門前広場で待ちに待ったアイドル部のライブが始まった。



「みんなー!! 今日もはるにゃん達のライブに来てくれてありがとー!!」

「「「「「うおおおおおおおおおおーーーーー!!」」」」」



 俺は全力で歓声を上げる。それにしても凄い観客の数だ。前回のライブより三倍は増えている気がする。やはりはるにゃんこと春香の人気が一番の理由だろう。最前列で見たかったのに、かなり後列になってしまった。



「ああ、あれが生のはるにゃん……!!」

「魅力的な声、類い稀なオーラ、そしてあの可愛さ。何もかも素晴らしい……!!」

「北海道から足を運んできた甲斐がありましたな……!!」



 隣りではいかにもアイドルオタクっぽいおっさん達が熱く語り合っていた。もはや春香の人気はこの学校だけに留まってはいないようだ。つーかここ学校の敷地だよな? このおっさん達不法侵入じゃね? まあ細かいことは気にしないでおこう。



「それじゃ次の曲、いっくよー!!」

「「「「「うおおおおおおおおおおーーーーー!!」」」」」



 やれやれ、白熱してるフリというのも苦労する。そして二曲目がスタートした直後、驚くべきことが起きた。



「!!」



 リストバンドで隠している右腕の痣から、焼けるような痛みを感じ取った。痣が反応している!! 近くに転生杯の参加者がいるのか!?


 ライブを最後まで見届けられないのは残念だが、やむを得ない。俺は観客スペースから離れて注意深く周囲を見渡す。これだけの人だかりだ、相手側も俺の存在に気付いてない可能性が高い。



「俺が転生杯の参加者だ!! どこにいる!? 出てこい!!」



 何度かそう叫んだが、観客の声がうるさすぎて掻き消されてしまう。なんにせよ、この近くにいるのは間違いない。


 俺はひたすら広場を駆け回ってそいつを探す。しかし結局、最後まで参加者らしき人物が姿を見せることはなかった。




 ライブが無事に終わり、帰り道を歩きながら、俺はそのことを春香に伝えた。



「えっ、転生杯の参加者が現れたの!?」

「ああ、でも見つからなかった。逃げたのかもな」



 もしあの場で戦闘になっていたら多くの人達を巻き込んでいただろうし、そういう意味では幸いだった。おそらくそいつも雪風と同様、良く言えば慎重な、悪く言えば臆病なタイプだと思われる。ひとまず真冬にも参加者が現れたことはスマホで伝えておいた。



「春香の痣は反応しなかったのか?」

「ええ。でも良かった、もしライブ中に反応してたら動揺して歌うどころじゃなくなってただろうし」

「そっちの心配かよ……」



 どうやら春香の痣はギリギリ反応範囲外だったらしい。しかしこれは好都合だ。常に春香の傍にいれば、そいつが接近してきた場合は春香の痣の反応で分かるので、すぐさま戦闘態勢に入れる。



「!」



 その時俺は、背後から怪しげな気配を感じ取った。おそらくそう遠くはない。このタイミングで現れたのか……!?



「春香、痣は!?」

「え? 反応してないけど」



 ということは、転生杯の参加者じゃない……? だがニーベルングの子供達という前例もあるし、参加者に利用されている一般人という可能性もゼロではないし、決して油断はできない。



「……ん?」



 違和感を覚えた俺は、更に神経を集中させて周囲を見回した。やはりそうだ、怪しげな気配は一つだけじゃない。二つ、三つ、下手したらそれ以上。これは一体……!?




ある準備のため更新ペースが落ちるかもしれませんがご容赦ください。詳細は後日お知らせします。


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