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春香の裸

 春香に安静にするように言われたので、それから夕方頃までほとんど部屋の中で過ごした。実際身体の痛みのせいで満足に動けなかったしな。今はその痛みもだいぶ収まったので問題ない。



「秋人、お風呂が沸いたけど入る?」



 春香が俺の部屋に来て言った。そういえばここ数日一回も風呂に入っていない。女子二人と一緒に生活している以上、清潔感には気を付けた方がいいよな。



「あ、でも新しい服とか下着持ってないわよね。買ってきてあげようか?」

「いや、いい。自分で買いに行く」



 男物の下着を女子に買わせるのは気が引けるので、俺はいくらかお金を持って近くのデパートまで足を向けた。また転生杯の参加者に遭遇する可能性もあるが、さすがに三日連続はないだろう……と思いたい。ま、遭遇したらしたで闘うだけだ。


 なんだかこうして普通に買い物をしていると、ただの一般人に戻った気分になる。周りの人達も俺は一般人にしか見えていないだろう。俺に三つのスキルが備わっていて、二人の人間を手にかけたことなど夢にも思うまい。


 ふと、途中ですれ違った幸せそうな家族に目が留まる。もしあの殺人事件が起きず、普通の人生を歩んでいたら、俺もあのような家庭が築けていたのだろうか。転生杯に勝ち残り、転生権を手に入れて人生をやり直すことができたら、きっと……。


 適当に服と下着を購入してデパートを出た俺は、久々に酒が飲みたくなったので途中のコンビニに立ち寄った。しかしレジに缶ビールを置くと、そこにいた若い女性店員が怪訝な顔を浮かべた。



「あの、お客様。未成年者にお酒を販売することはできなくて……」

「えっ? いやいや、どう見ても未成年じゃないでしょ――」



 あ、しまった。身体が16歳になってることすっかり忘れてた。まだ一般人の感覚が抜けていなかったようだ。どうしよう、飲んではいけないと分かったら余計に飲みたくなってきた。ノンアルでは駄目だ、ちゃんとした酒が飲みたい!



「そこをなんとか!!」

「その、法律で決まっていることなので……」

「飲まないと死にそうなんです!! どうかお願いします!!」

「すみません、店長を呼んできます!」



 あ、これ絶対面倒なことになるやつだ。



「……やっぱりいいです」



 俺は酒の購入を諦め、肩を落としながらコンビニを出た。俺が飲むんじゃなくてプレゼント用に買うとか言うべきだったか? いや未成年者の購入自体が禁止されてるから同じか。ちくしょう、支配人もなんで16歳の身体にしたんだ。


 それから俺は少し回り道をして、昨日愛城と闘った公園に立ち寄ってみた。あれだけ滅茶苦茶やったというのに、遊具も地面もすっかり元通りになっている。やはり支配人が転生杯の痕跡を全て消しているというのは本当のようだ。





 転生杯の参加者に出くわすこともなく、無事にアジトに帰宅した俺は、そのまま風呂場に向かった。浴室は思ったより広く、ざっと十人は入れそうだ。そういやここって元児童養護施設だったな。きっと子供が一斉に入れるように、この広さにしたのだろう。



「ああ~~……」



 湯船に浸かると思わずおっさんみたいな声が出てしまった。身体の疲れが一気に癒されていくのが分かる。でもこんな広い風呂に一人で入るのは、なんかちょっと罪悪感があるな。光熱費とか凄いことになってそう。



「秋人、湯加減はどう?」



 入浴して数分後のこと。浴室のドアの向こうから春香の声が聞こえてきた。



「ああ、ちょうどいいブーッ!?」



 俺は盛大に噴き出した。浴室のドアが開いたかと思えば、なんと春香が入ってきたのである。何も身に付けていない、生まれたままの姿で。



「ななな何してんだ春香!?」

「え? アタシも一緒に入ろうと思って。何か変?」



 キョトンとした顔で首を傾げる春香。初めて生で見る16歳の裸体に、俺の目が釘付けになる。



「変だろ!! 男女が一緒の風呂に入るとか!!」

「んー、そうかしら。家族とか親しい人とは一緒に入ったりするし、別に普通でしょ?」



 全く恥じらう様子もなく春香が言う。いくら身体や頭脳が16歳になろうと精神的には6歳のままかよ。きっとまだ羞恥心が芽生えていないのだろう。



「やっぱり大人の男の人って、こういう女の子の裸を見たら興奮するものなの?」

「は!? いやそれは、まあ……」

「へー、そうなんだ。でもアタシそういうのよく分かんないのよね。どのあたりに興奮するのかしら。お尻? それとも胸?」



 尻を向けたり胸を軽く持ち上げたりする春香。そういうことをされるとますます興奮しちゃうだろうが!



「春香は今の自分が年頃の女の子という自覚を持て! そんな軽々しく男に裸を見せたら駄目だ!」

「別にいいじゃない。仲間同士、裸の付き合いってことで。どうしても出て行ってほしいならそうするけど」

「……そこまでは言ってない」



 結局のところ煩悩には抗えないのであった。健全な男としてこの状況をできるだけ堪能したいと思うことを、どうか許してほしい。真冬に知られたらどうなるやら。

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