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朝野大作戦

「って、なんで朝野までいるんだよ」

「実は私もこの前の中間テストでやらかしちゃって、再テストを受けなくちゃいけないんだよね」

「……ちなみに学年順位は?」

「ダントツの最下位にゃ! テスト中ほとんど寝てたし!」

「よくそれで俺のこと笑えたな!?」



 俺以下の生徒がいてちょっと安心したのは内緒だ。



「だから私も千夏ちゃんに勉強を教えてもらおうと思って!」

「いや、それはさすがに千夏の負担が大きすぎるだろ」

「私は別に構いませんけど……」

「ほら千夏ちゃんもこう言ってるし!」

「まあ、千夏がいいなら……」



 そんなわけで、朝野を加えた三人で再テストに向けて勉強することになった。



「ここの問題は、この公式を使うんです。それでこの解を代入して……」

「おー、なるほどな」



 千夏は俺の期待通り、いや期待以上に優しくかつ丁寧に教えてくれる。俺も勉強している内に段々と生前の学生時代に培った知識を取り戻してきた感じがするし、この調子なら再テストまでには間に合いそうだ。



「すごく分かり易くて助かる。千夏は教師とか向いてるんじゃないか?」

「そ、そんなことないですよ。秋人さんの呑み込みが早いおかげです」

「…………」



 そんな俺と千夏のやり取りを、何故か朝野は不満げな顔で見つめていた。



「なんだよ朝野。こっち見てないで朝野もちゃんと勉強しろよ」

「……うにゃー!! まどろっこしいにゃー!!」



 突然朝野が叫び出したので、思わず俺はペンを床に落とした。



「急にどうした!? てか図書室では静かにしろ!」

「千夏ちゃんちょっとこっち来て!!」

「えっ!?」



 朝野が千夏の腕を引っ張り、図書室の隅へと連れて行く。なんかデジャヴだな。



(何やってんの千夏ちゃん! せっかく私が背中を押してあげたのに!)

(えっと……どういうことですか?)

(これは秋人くんとの距離を縮めるチャンスなんだよ!? なのにただ普通に勉強を教えるだけでどうするの!?)

(だ、駄目でしょうか……?)

(駄目にゃ! 全然駄目! これじゃ距離なんて縮まらないよ!)

(では、どうしたら……)

(しょうがない。ここは私がアドバイスしてあげるにゃ!)

(アドバイス、ですか……)

(おや、なんか不安そうな顔だね。こう見えて私は数え切れないほどの男を手玉に取ってきたんだにゃ!)

(そうなんですね! 頼もしいです!)

(……嘘だけど)

(え? 今なんと……)

(何でもない。とにかく私のアドバイスを聞けば絶対上手くいくにゃ!)

(はい、お願いします!)

(そもそも座る位置から間違ってるにゃ! こういう時は真向かいじゃなくて隣りに座って物理的に距離を近づけないと!)

(なるほど……!)

(あと千夏ちゃんは圧倒的に積極性が足りない! ちょっと可愛いからって油断してたら痛い目見るよ!)

(か、可愛いだなんてそんな……)

(秋人くんの近くには春香ちゃんと、あと真冬ちゃんって子もいるんでしょ? モタモタしてたらいつかその子達に秋人くんを取られちゃうかもしれないにゃ!)

(それは……)

(だったらもっと千夏ちゃんの方から積極的に攻めないと! 秋人くんって押しに弱そうだし、攻めれば攻めるほど強く印象を残せるはずにゃ!)

(でも、具体的にはどうすれば……)

(その豊かなおっぱいは何の為にあるの!? それを有効活用しない手はないにゃ!)

(胸ですか!? 有効活用って、一体どういうふうに……)

(それじゃ私がお手本を見せてあげるから、そこでよーく見ておくにゃ)

(お、お願いします!)



 例によって会話の内容は聞き取れない。しかし今回はやけに長いな。



「やっほー秋人くん!」



 すると朝野だけがこっちに戻ってきて、俺の隣りに座って椅子を寄せてきた。なんかやけに距離が近い。



「お、おい。朝野の席はそこじゃないだろ」

「まーまー、飛行機じゃあるまいし席なんてどこでもいいでしょ。それより勉強の方は捗ってる?」



 そう言いながら、なんと朝野が俺の腕に胸を押し当ててきた。



「ちょっ、朝野!! 当たってる当たってる!!」

「んー? 何が当たってるのかにゃ?」



 わざとやってんのか!? こんなの勉強どころじゃなくなる!! あまり膨らみがないからそこまで柔らかい感触が伝わってこないのは残念だが……。



「……今、何か失礼なこと考えてない?」

「そ、そんなことはない」



 その時、周りの生徒達が憎しみに満ちた目で俺を見ていることに気付いた。



(図書室でイチャイチャしやがって……!!)

(家でやれよゴミカスが……!!)

(殺す……!!)



 生徒達からこんな心の声が聞こえてくる。いかん、このままじゃ殺される。



「騒がしいですよ貴方達。皆の迷惑ですから静かにしてください」



 一人の女子生徒が俺達の前に現れ、眼鏡を光らせながら注意してきた。雰囲気的におそらく図書委員だろう。



「す、すみません。ほら朝野、早く離れろ!」

「えー? まったく、秋人くんは照れ屋さんだにゃー」



 朝野は俺の腕から離れると、また千夏の所に戻った。



(とまあ、ざっとこんな感じかな)

(ちょ、ちょっとやりすぎじゃないですか!?)



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