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フレンドシップゲーム  作者: さの酢
1/1

プロローグ

初投稿です。

あまり展開が進みませんが、次回から頑張ります(; ・`д・´)

『今からゲームのはじまりだよ~ん』

軽快な音楽とともにマスコットキャラクター、エボルの声が教室に響いた。

僕らの……友情のゲームが始まる。



―数日前―

僕は特に何も無かった高校生活を終えた。卒業したのだ。

卒業式の数か月前までは皆受験に必死だったというのに、受験が終わり、それぞれの進路が決まると子供の様にはしゃぎ出した。

「もう大学決まったし」「遊ぼうが何しようが私たちの勝手」

授業中騒ぐ奴もいれば、学校に来ない輩もいる。

先生たちも特に気にしてないようで軽く注意する程度だった。

そして、あっという間に卒業。

互いに泣いたり、抱き合ったりしてそれぞれの道を行く


――はずだった


僕は気が付いたら見知らぬベッドで寝ていた。

どうしてここに?

頭の中が「?」で埋め尽くされた。

周りを見ると、床に一枚の紙が落ちていた。その紙には「ゲームを始める 部屋を出てホールにて待機せよ」と書かれており、その先のドアからカチッと乾いた音が聞こえた。恐る恐る部屋を出るとそこは先の見えないほどの長い廊下だった。


廊下を進むと部屋にあったものと同じドアがあり、その先は漫画に出てくるような室内カフェテリアだった。

見るとちらほらと人がいる。

「あれ? お前……?」

声をかけられ振り向くと、数日ぶりの友の顔がそこにはあった。

「裕、久しぶり。」

「やっぱお前あいじゃん!」

あい…それは僕のあだ名だ。苗字が藍染だからあい。いかにも小学生が考えそうなあだ名だ。裕とは幼稚園に通っている時からの同級生で、ずっと同じクラスだった。腐れ縁ってやつなのか。

聞けば裕も僕と同じ状況のようで、気が付いたらここにいたと言う。ただ、裕が言うにはここにいる人は全員同じ高校の同じ時期の卒業生だということ、外へのドアはなく、窓はあるが割ることが出来ない、つまり監禁された状態らしい。


「けど、監禁するにしては環境が良すぎる。飯も好きなもん食い放題だし、ほら」

裕の指さす方を見てみると、食堂のカウンターでラーメンや天丼を頼んでいるクラスメートの大森美郷がいた。どうやら今までにも色々食べていたようだ。

「とんちゃんよく食うなあ、この状況で。」

「ほぇ? だってご飯は食べれる時に食べておかないとぉ」

とんちゃん、というのも裕が勝手に付けたあだ名だ。みさとの「と」を取ってとんちゃん。全く裕の名付けセンスは分からない。

とはいえ、美郷(以下、とんちゃんと呼ぼう)は気にしていないみたいだ。すごい食べっぷりだ。


『いぃやっほぉ〜』

突然のんきな機械声が食堂に響いた。声のするほうを見てみると食堂の脇に少し大きめのテレビがあり、そこに幼稚園児が描いたかのようなお世辞にもかわいいとは思えないキャラクターが写っていた。

『やぁ~僕はエボル! この建物の総支配者だよ~ん』

その謎のキャラクターは体に合わない小さな羽を巧みに使って画面の中をあっちこっち飛び回っている。

『唐突すぎてびっくりしちゃったかい? それとも聞きたいことが多すぎて脳の処理が追いつかないとかぁ?? ぷぷぷ、人間って大変だねぇ』

『なんも言えない様なら僕から言っちゃうねぇ……君たちはこの僕様、エボルによって監禁されたのだぁ』

「ちょっ、ふざけんなよ⁉ 誰がそんな子供だましに引っかかるんだよ! 早く俺たちを解放しろ!!」

エボルの煽り口調に耐えられなくなったヤンキー格の青年(一度も同じクラスになったことが無いので名前すら知らないが)がテレビに向かって殴りかかるが、テレビの画面は傷一つ付かない。

『解放……? 君たちが仲良く過ごせたなら解放してあげるよぉ~何も解放しないなんて言ってないしぃ』

『ちなみに、これから皆で共同生活してもらうから仲良くねぇ、ルールも各部屋においてあるからぁ、後で見てねぇ~ルールを犯したら罰があるからねぇ』

……わからない、僕たちを監禁した犯人は何が目的なんだ? しかもこんな大人数、どうやって連れてきたんだ。


『あ、ここ食堂のご飯はいつでも食べていいよーん!ってもう食べてるかぁ……ねぇ大森美郷……』

エボルは、さっきまで馬鹿のようにご飯を食べていたとんちゃんを見て、ノイズのかかった声でゆっくりと呟いた。

『なぜキサマハひとのハナシをキカズニかってなコトをしている?』

『そぉぉんな悪い子には罰を与えなきゃあ~』

その瞬間どこからともなく現れた黒い靄がとんちゃんを包んだ。

「なっ何⁉ いや、離して!!」

とんちゃんは黒い靄とともにあっという間に消えてしまった。

「どうなってんだよ……なんだよこれ」

『どうもこうもルール説明する前に勝手なことをしたから罰だよ~』

「そんなのずるいよ、後出しじゃん!」

「そうだ」「とんちゃん返せ!」皆がブーイングをし始める。エボルは少し考えるような動きをした後あの不敵な笑みを浮かべ言った。

『分かったよぉ……そこまで言うなら明日とんちゃんをかけたゲームをしよう!』

そのゲームとは高校時代のとんちゃんに関するクイズで、たった一問正解すればとんちゃんは戻ってくる。

だが、間違えたらとんちゃんだけではなくもう一人犠牲になるというルールだ。

回答者はこちらで決めていいらしいので、とんちゃんと仲の良かった伊藤麗奈が立候補した。


僕は自分の部屋に戻り、ベッドの上で考え込んでいた。

なぜエボルは、理不尽な理由でとんちゃんを連れ去ったんだ?

そもそもエボルが僕たちを拉致した理由は?

考えているうちに、僕は最初に気づかねばならない重要なことに気づいた。

そもそもなぜエボルは画面の中にいたのに僕たちの状況を把握していたんだ……? とんちゃんは少なくともエボルが説明していた時にはご飯は食べていなかった。つまり――

ここに監禁されている人の中に僕たちを監禁した犯人がいる……

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

とんちゃんは割と自分に似ている点がある気がするので少し心が痛いです……

果たしてとんちゃんは救われるのか……ご期待ください。

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