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魔王!爆誕!


「グハッ!グハハハっ!面白い!実に面白いぞ、小さきもの達よ!この圧倒的な力の差を前にして、震えながらもまだ向かってくるか!」


「…。」ぷるぷるぷる


ボム!ボボム!ボボボボム!

捨て身の体当たり。何度くりかえしただろうか、時に

死角から、時に連続し、時に四方向同時攻撃したが、どれも致命傷にはいたらない。


「フンッ。効かぬ」ボム!

「効かぬ」ボム!

「だから効か!」ボム!

「効か!」ボム!

「チョッ!」ボム!

「話ッ!」ボム!

「聞い!」ボム!

「だぁか!」ボム!

「チョッ!」ボム!

「話ッ!」ボム!

「お願ッ!」ボム!

「聞ッ!」ボム!


「…。」ボム!


「…。」ボム!


「グスン」ボム!


「もぉーーーー!」ダン!ダン!ダン!


それは突然にやってきた。耳をつんざく様な怒号と共に、彼の右足が、大地に何度も叩きつけられ、その衝撃で、大地は割れ…ることもなく。

町も激しく揺れてはいない。


両腕のひじより先を、同時に上下に力強く動かす事によって発生した風の刃。鎌鼬かまいたちなどは起きず。


拳は力強く握られすぎ、力の行き場を求めるように拳を震わせ、その振動は超音波になる事もない。

そう地団駄の時間だ。


他の者は、(きょ)をつかれ呆然としている。


「人がぁー!話してる時はー!最後まで聞くんだよぉー!もおー!わかったかー!ったく!本当にっ!これだからっ!フンッフンッ!」


「…。」ぷるぷるぷる


「………すぅ〜はぁ〜。よしっ。わかったか?まあ、そう震えるでない。我も久しぶりに怒りで我を忘れ、大人気なく固有スキル(地団駄)を使ってしまったわい。詫びにどうだ?我の下につかぬか?」



「…。」 ぷるぷるぶる


「ダメか?(もうひとおしかな?)…いやなぁ、最後まで諦めないお主達のその心。敵ながら天晴れであった。ぜひ我の下で、その力ふるってほしい」


「…。」 ぷるぷるぶる


「…!おおすまぬ、すまぬ。急がすぎたな。べつに、断っても殺しはせぬ。明日またこの場所に来る。その時に返事を聞かせてくれ。」



彼は一方的に話を終え、敵に背を向けてもと来た道に帰ってゆく。まるで後ろからの攻撃など、全くの無意味と言うかの如く、堂々と歩いて行く。その姿はとても神々しく。世界が、彼を祝福するかのように光がさしていた。





いたた。チョウ痛いよ。「ハァ〜」全然効いてるよー本当にさぁ。所々青アザになってるし。うわぁ〜見たらもっと痛くなってきた。グスン。怒られる気がする。

そして、西日が眩しい。生きづらいわ〜。



「ただいまぁ。母上」

「おかえり、コナー。今日は何してたのかしらぁ?」

台所に向かい、晩御飯の用意をしながら、のんびりと答える。コナーの母親アイジー


「今日も町の外で遊んでたよースライムとー」

「今日は何ごっこだったのぉ?」

「魔王ごっこー」


アイジーは、微笑みながら振り向き、料理を運ぶ手がとまる。


「えっ!えー!!す、すごい顔!ボコボコじゃない!ど、ど、どどーしたの!?」

「え、えっと、圧倒的な魔王のフリして遊んでたら、こうなっちゃった。僕の顔ってそんなに凄いことに?」


コナーは母に渡された、手鏡を見て驚愕する。顔の全体が形の悪いみかんのようにボコボコになっていた。なんで?



「だ、だいじょぶなの?平気なの?痛くないの?薬草使う?ポーション飲む。」

「だ、大丈夫です。…たぶん。」


パタパタパタと少女がかけてくる。


「どーしたのー?お母さん大きな声だしてー?あっ!コナー顔デカっ汚たなっ!キモッ」コナーの姉アリーシア

「コナーがあーで魔王で、こーでボコボコ。」

「はぁ…。大丈夫よ、お母さん。こんなのいつもみたいに殴っとけば、治るんだから」



そう言うと少女は、腰を低く落としながら回転を加え、手のひらの1番硬い部分を彼の顎に向け無慈悲な一撃が彼に放たれれる。


ゴスッ!キラリン。


今日1の衝撃と痛み。と、同時に青アザが治っていく。

アリーシアのオリジナル回復魔法。

ヒーリング掌打だ。

弟を殴っても、決して親に怒られる事はない。だってそこに傷は無いのだから…。実に慈悲痛い。


「ねっ!お母さん。」

「えーお姉ちゃんこーわっ」


「キモコナー感謝の言葉は?」


「…………あ、ありがとございます。………ボソボソボソ(姉ゴリラ)


ゴスッ!


パタリ。



こうして人知れず魔王が誕生し、討伐された。今日が魔王の誕生死である。






一方その頃町の外では、スライム達が何やらぷるぷる震え真っ青になっていた。

「………ハッ!女子力、爺、博士、大丈夫か!?」

「…え、ええ、なんとか」

「…うむぅ」

「…こわっかたぁ」

各々リーダのかけ声によって正気を取り戻した。


「平気そうだな。しかし凄かったなあ。いきなりの咆哮で体が固まったぜ!まさか、獣系の固有スキルを使うとはな」

「いやぁ、それはリーダーがビビリなだけだと…」


「そうね。それより私は、足を使った土魔法かしら。すごい揺れで身動きがとれなかったわ!かなりの魔法の使い手よ」

「いやぁ、それはたんなる地団駄だと思うよ…」


「そうじゃ、そうじゃ。その後の腕を使った風魔法こそ、わしが動けなかった理由じゃわい。あの場から一歩でも、動こうものならば、風の刃にてコマ切れにされておったわい」

「いやそれ」「わかっておる。その後拳から発生された超音波じゃろ?逃げられないように念には念をと、かなりの場数踏んでいる手練れであったのお」

「いやそれも、たんなる子供の癇癪だと思うよ…。僕が怖かったのは、咆哮の少し前に目が真っ赤になって少し光ってたんだ。あれはスキル狂戦士だよ」


「「「きょ、狂戦士!!……ゴクリ」」」

「うん、何にせよ皆動かなくて正解だったな。ハハ、ハハハ」

乾いた笑いが会話の終わりをつげ、気がつけば夜も深まり、各々物思いにふけっていった。


最期まで読んでくださり、ありがとうございます。


良き小説を:)

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