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暖かい家族を築いていく〜 make a family〜  作者: 黒帽子
出会いの春
9/43

季節の変わり目に

僕は夢を見た

辺り一面に花が咲いていて種類も色々だ

でも人影が近づくにつれどんどん花が

彼岸花に変わっていく…

そして僕がその人影を見ると…

夢は終わる


「ゆうくん、この番組怖いね…」


まゆ姉さんが僕の服の裾を引っ張りながら僕の顔をのぞき込むように見る


「そうだね…僕も今日、寝れるか心配になったよ」


テレビに集中していた僕の肩をなにか重いものがのしかかる


「えっ…」


振り向くと満面の笑みの父さんが笑いをこらえんばかりの顔をして目を合わせる


「ぷっ…最高だよゆう、リアクションが最高だ…」


「僕からいわせれば最悪だよ!」


その日、父さんの夜ご飯はおかゆになった


「そういえばゆう、まゆ、風邪は引いてないか?」


「どうしたんだよ父さん、父親らしいことをして

父さんこそ熱があるんじゃないか?」


「こりゃ1本とられたな…じゃなくてだ!父さんは

明日から二日間仕事をするから家に帰ってこれ

ないから風邪を引くまえに薬買おうと思ってな」


まゆ姉さんが父さんの後に周り何かを耳打ちしている…表情からしてアレは…脅し!

見なかったことにしよう…番組よりも怖い…


「父さん、無理は禁物だからね用があればいつで

も呼んで弁当とか届けに行くから」


(仕事場知らないけど)


「いや、それは多分ないかな」


曖昧に返すと思っていたのに父さんは即答で返した…


「まあ、明日から二日だけだから…エッチなこと

はするなよ〜特にゆうな」


「しないよ!!」


「私もしない…はず」


「「え!?」」


「え?」


この場にいる全員が止まった

はずという語尾が付いただけなのにも関わらずだ


「ま、まあ?まゆも大人だしな〜ま、まあいいん

じゃないかな?な、なあゆう〜」


「あ、えっと、そうだね…うんそうだよ父さん!」


(まゆ姉さんの爆弾発言は男には効く…)

天然なのか本気なのか分からないのが僕の最近の悩みでもあり超えないといけない壁な気がする。






「うーん、あれ?まゆ姉さん、父さんは?」


「もうとっくの前に仕事行ったよ?」


「まゆ姉さん…仕事は?」


「今日は休みなのです…というわけで!」


「わけで?」


「ゆうくん、私と一緒に出かけましょう!」


「ちょっと待ってね、家事終わらせてからじゃな

いと…ってあれ?家事終わってる?」


「私、今日は早起きしました」


まゆ姉さんは手をVと勝ち誇った顔で突き出してきた


「出かけるのはいいけど、どこに行くの?」


「天王寺!」


「天王寺か…うーん、分かった…アニメイトで何

か買うんでしょ?」


「うん!アニメイト特典を狙いに行きます!」


僕らは急遽、アニメイトに出かけることになった

僕は久しぶりにエプロンを椅子にかけ

外出用の服に着替え季節が変わるといえどまだ少し冷えるのでマフラーと手袋を付け、まゆ姉さんにマフラーを付けてあげ家をあとにした


「うーん、外出るの久しぶりだなぁ…」


「たまにリビングにいない時は買い物に行ってる

んじゃ?」


「いや?基本買い物は父さんが行ってるよ…嫌い

な食べ物が冷蔵庫にあると不機嫌になるってこ

とを自覚しているらしく『自分で買いに行った

らいいじゃん!』っていう答えに辿り着いたん

だよ…」


僕は少し憂鬱そうにこめかみをかく


「へえー滋さんは通りで毎日ゆうくんのご飯を待

ち望んでいる訳なんだ」


「だといいんだけどね…」


そんなたわいもない話をしているといつの間にか天王寺に来ていた


「広いなぁ天王寺…人もたくさんいるし…都会だ」


「ゆうくん、こっちこっち!」


「ちょっと張り切りすぎじゃない?」


ものすごい速さでアニメイトの店まで走り出す

まゆ姉さんを見てスカートなのに走ってもいいものなのか…と思いながらあとを必死でついて行く


「ハァハァ…まゆ姉さん?どうしたの…ハァ…」


「いやーその…」


まゆ姉さんが見ているものを見ると…

『兄弟限定』と大きく書かれた看板に今日だけ限定!という言葉が目に止まったらしい


「え…?食べるの?」


まゆ姉さんはこっちを見て少しヨダレを垂らす

それを見て僕はポケットに入れていたハンカチで

まゆ姉さんの口をふいてやる…周りの人の目がかなり鋭かったのは気のせいだろう…特に女性の


「「いらっしゃいませー!」」


入るや否やいきなり店員さんにパフェを要求するまゆ姉さん、アニメよりもこっちが狙いだったのかもしれない…


「あ、こら!まゆ姉さん、店内でコート着てると

外との差で冷えるよ?」


「大丈夫だよ、マフラーがあるし〜」


マフラーを渡すんじゃなかったと後悔した

遠目で客からのにやけ顔を見つけてしまった僕は少し顔が赤くなっていた


「パフェでございます!」


「ありがとうございます…」


まゆ姉さんがそそくさとパフェを受け取ると

当然のように真ん中にパフェを置く


「食べよう?」


「1人で食べたいんでしょ?」

と少し冷たく言うと


「正直、これ1人で食べたらかなり満腹感に支配さ

れると思う…でも一緒に食べたほうがきっと

美味しいから…ね?たべよ?」


僕は仕方がなくスプーンを取り頂上にあるイチゴを崩さないように食べる


「イチゴあげるよ、まゆ姉さん」


「食べさせて〜」


この瞬間、店内の男性は全員この席を見たであろう…僕だって他人が姉弟で食べさせ合いなんてしていたら僕だって見る…つまり今!食べせると男性陣の反感を買う…食べさせなければまゆ姉さんのお咎めを食らう…参った…


「じ、自分で食べたら?」


「それもそうだね」


少しふてくされながらスプーンにイチゴを落とさないように乗せる


そして…

僕の口の中にイチゴの甘さが広がった…


「おいしい?」


「おいひい…」


僕は混乱していた…

目の前のまゆ姉さんの変わりよう

まるで久しぶりに外に出た人に、外の楽しさを教えるかのような…それでもいきすぎだが…


20分後…

僕な天国と地獄の境目に居るような時間だった


「パフェ美味しかったね」


「そ、そうだね…お、美味しかった…」


「じゃあ、帰ろう」


「アニメイトはいいの?」


「うん、今日発売じゃなかったみたいだから…」


「残念だったね…」


「そんなことないよ…」


「まゆ姉さん、今なんか言った?」


すると小悪魔みたいな笑顔で「なーんにも」と言われてしまった…聞き出せそうにもないようだ


帰り道の電車の中で僕はいつの間にか寝てしまっていた…

起きると隣にはまゆ姉さんの肩があって僕が体を起こすとそこは僕達が住んでいる小さな田舎町の駅に着いていた…


「まゆ姉さん、まゆ姉さん…起きて!」


「ゆうくん、ここどこ?」


「家があるところだよ、さあ降りよう?」


駅からもかなり距離があるため僕達は話しながら帰って行った


「ねぇねぇ…ゆうくん…」


「なに?まゆ姉さん」


「天王寺…楽しかった?」


「うん、かなり電車に乗って1度は人が多く乗って

きたときに、まゆ姉さんとはぐれた時はかなり

焦ったけどね」


「まだまだ…子供なんだね、ゆうくんは」


「そうだね…」


まゆ姉さんが、小さなくしゃみを2つ


「風邪引いた?」


「い、いやそんなことは…」


「って!フラフラじゃないか!」


「ほら、おぶっていくから乗って…」


「ゆうくんに悪いよ…」


「助け会えないと姉弟じゃないよ…」


僕のつぶやきが聞こえたのかは分からないが

まゆ姉さんは僕に乗るや否や直ぐに寝てしまった


「もう、本当にまゆ姉さんは…」


僕は小さな声で「ありがとう…」そう聞こえた気がした、、






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