お盆
今日の宮田家は忙しかった
なぜかというと父さんが昨日、急に
『明日は盆だから真菜に会いに行くぞ〜』
と張り切ったからだった
真菜というのは僕の母さんで事故で亡くなった。
今はそういう暗い系の話は置いておいて…
父さんが言っていた明日は今なので…
絶賛渋滞中です
「父さん…ここ何十分ぐらい混んでる?」
父さんはガムを力いっぱい噛みながら答える
「だいたい…三十分ぐらいだ…」
「まゆ姉さんは大丈…って寝てるのか…」
まゆ姉さんは器用に車のドアに肘を置いて見事なバランス力を維持したまま眠っていた
「お、動いた!ゆう!渋滞を抜けたぞ〜」
父さんはガッツポーズしながら僕の方を見るなり
いつも聴いている音楽をかけ始めた
そのまま僕達は母さんが眠っている
墓までなんなく行くことが出来た
「いやー…去年来れなかったから今年は来れてよ
かったなぁ…」
「そうだね…でも、まだ少し距離あるね…」
僕達は車を降り、まゆ姉さんを起こすべく自動販売機でまゆ姉さんの好きなジュースを買うと
二人でまゆ姉さんの頬をつついた
「んー…着いたの?」
「着いたぞ、ここからが本当の墓参りだ!」
「なんなんだよその意気込みは…」
僕達は父さんの異様なテンションに付き合いながら坂を登り…石段を登り…とにかく登った
「「長かった!!」」
僕とまゆ姉さんが息を切らしている中
父さんはそそくさと母さんの墓に向かうと
何かを呟きながら手を合わせていた
その光景が見ていて、とても切なかった…




