嫉妬
「──せめて…苗字じゃなくて
名前で呼んでもいいですか?」
この言葉を私は聞いてしまった
私は…聞いて…しまった…
ゆうくんが楽しそうに話すのは姉としては喜ぶべきと分かっているのに…
私はゆうくんが泣いている所を見てから
少し私の中のゆうくんが変わってきていることに気づいていた…
私は…黒木さんが羨ましい…
あんなにもゆうくんと話せている
黒木さんが羨ましい
「ゆうくん…楽しそうだな…」
私はいじけてプールの水を足で仕事の先輩に
かけ続ける
「まゆー、どしたの?元気ない?」
「大丈夫です…」
私はただ…気を遣われてるのが今は辛い…
「大丈夫じゃないしょ?まゆー、ちょっと話
しよう?」
私は先輩に言われるがまま促されるがまま
先輩の質問攻めに答える形式で話を聞いてもらうことにした
「んー、弟さんと仲良く行ってない〜とか?」
「正解…です…」
「冗談だったのに!?」
「私、どうしたらいいんでしょうか?」
「まゆー、それはね“嫉妬"って言うんだよ?」
「嫉妬…?」
「あの綺麗な子が弟さんと仲いいから妬いてるっ
て見てたら分かるよ〜」
「私が若菜さんに嫉妬してる…」
「うんうん、まゆーがブラコンだったなんてね〜」
「ブラ…コン…?」
「ブラザーコンプレックス?だっけ…まあ、要す
るに…お兄ちゃん弟大好き〜!って人の事言う
みたいだよ?」
「先輩は私がブラコンと思いますか?」
「うん、超ブラコン!」
「たまに先輩のそういう天然さ羨ましいです…」
「えへへー」
(褒めてないなんて言えないよー!!)




