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暖かい家族を築いていく〜 make a family〜  作者: 黒帽子
出会いの春
3/43

若い頃の思い出と唐揚げ

僕の名前は宮田みやた悠馬ゆうま

僕は父さんと二人暮しだったが父さんが親戚の子僕の姉として、新しい家族として迎え入れた

.................................................................................

「父さんが自分の部屋の掃除なんて珍しいね」


「ああ、ゆうばかりに掃除させる訳にもいかないからな」


僕には掃除というよりも何かを探しているように見えた何か大事なモノを…


「父さん、掃除手伝おうか?」


「いや私が掃除すると決めたから私がするよ」


かたくなだった

さらに、部屋から追い出されてしまった

相当大事なモノを探しているようだった


「あ、ゆうくんちょっと…」


僕に声をかけたのはまゆ姉さんだった

まゆ姉さん、僕の姉として新しい家族になった

旧名を僕は知らない


「どうしたのまゆ姉さん」


近づくとまゆ姉さんが畳を指さした

その瞬間何を言いたいのかはっきりとわかった


「あ…」


「うん…」


僕達はお互いの顔を見て何を見つけたか答え合わせをするかのように叫ぶ


「「ゴキブリ」」


まゆ姉さんの顔はどんどん引きつっていた

僕は…どうするべきか考えていた

対処法はいくらでもある、だがどれが効くかは分からないのだ…


1,ゴキブリ退治用スプレーをかける…

部屋にさらにいられる可能性がある


2,新聞紙を丸めて潰す…

正直コレは本当にやりたくない潰れると畳に破片が飛ぶからだ掃除する気も失せる


3,父さんを呼ぶ…

父さんは僕よりゴキブリを見てきたはずだならばちゃんとした対処法を実践してくれるかもしれない


そんな思考をよそに隣にいたまゆ姉さんはスリッパでゴキブリを器用に窓からゴキブリをあっさりと逃がしていた…


「え…」


「え?」


「まゆ姉さんってゴキブリとか大丈夫なの?」


「大丈夫じゃないよ…でもゆうくんを守らないとって思って…それで…」


「ありがとうまゆ姉さん、僕は唯一虫で苦手のがゴキブリなんだ…本当に助かったよまゆ姉さん」


まゆ姉さんは小さく頷いて僕の肩を2回叩いて耳元で囁いた


「ゴキブリ退治は私…に任せて…」


「うん、ありがとう」


そんな光景を父さんは部屋の隅っこから見ていた


「姉弟って良いなぁ…」


まゆ姉さんが居なければ戦闘《ゴキブリ退治》は相手側の勝利だったというのに…

こういう所がたまにイラッとくる

だが、怒りを抑えて父さんにできるだけ優しい声で話しかけた


「父さん、捜し物は見つかった?」


「はは…み、見つかった見つかった」


ところが相手には優しい声には聞こえなかったようだ少し悪い気がしてきた


「父さん何を見つけたのか教えてくれよ」


「もちろんだ」


「滋さんは何を見つけたんですか?」


「まゆも気になるかい?」


「気になります…」


父さんは座布団の上に座ると僕達も座るようにうながしたのでそれに従って僕達も座布団に座った


「コレを探してんだ」


それは1冊のアルバムだった

かなりの量が入っているのが分かる


「特にまゆに見せたかったんだよ」


「私…に?」


「そうだ、この前撮った写真もここに挟まないとな…」


ポケットから写真を取り出して机の上に置いた

綺麗な桜が咲いている庭をバックに家族三人で初めの


家族写真を撮った物だった


「挟む前にさアルバムの写真をまゆ姉さんに見せようよ僕も初めてアルバム見るし」


「それもそうだな」


意気揚々とアルバムの表紙をめくった


「可愛い…コレ…ゆうくんですか?」


「そうだよこの時のゆうはとても可愛くてね特に私が寝ようとする時にずっとトイレに付いてきて何て言ってねとてもとても可愛い時期だったな」


「そんなの僕、覚えてないなぁ…」

少し照れくさいかった

そんは僕を横目に父さんが微笑していた


「ゆうが覚えていたら私もびっくりしてしまうよ」


その目はとても暖かい目だった


「ゆうくんがトイレに付いてきて…」


まゆ姉さんはというと妄想にふけっていた

正直にいうと気持ち悪かったでも言うと怒られそうなので心の中で収めた


「と、父さん僕を抱いてるこの茶髪の女の人は誰?」

すると父さんはまた笑いながら答える


「それは私の妹の璃美りみだよ

ゆうが物心ついてからは璃美が忙しくて会えずそのまま今も会えてないな…たまには連絡をするかなぁ」


父さんに妹がいるなんて初めて聞いた…

僕は思っている以上に父さんの事を知らないのかもしれない


「滋さんこっちの綺麗な黒髪の女性の方はどなたですか?」


父さんは懐かしいものを見るような目で答える


「それは私の妻だよ、あの人は私をいつも楽しませてくれたんだなのに結婚をしても名前で呼ばないでって言うもんだから私は彼女のことをママって呼んだり真奈まなって呼んでたんだ」


「そうなんですか…滋さんはどうやってその…ママさんと出会ったのですか?」


「少し長くなるけどいいかな?」


「お願いします」


「僕も聞きたい」


僕もかなり興味があった父さんと母さんの出会いは

きっと甘いラブストーリーなんだろうな…

.................................................................................

あれは私が高校生の時だった…


父と母はこの辺を束ねる偉いさんだった

私は家でははかまを着たり庭でお茶を飲んだりのんびり過ごしていた

だが学校ではあまりその事を話さなかった

中学校の頃、その事を話すとほとんどの子が私から離れていった

だからわざわざ遠い所の高校を選びそこに通っている


「行ってきます」


私は皆が出かけていったのを知っていて毎日必ず行ってきますと言って学校に行っていた


「今日は雲がひとつもない晴天だな…」


私はその時前を見ずに空を見上げながら通学路を歩んでいた


「あ、危ない!どいてどいてーー!!」


後ろから自転車が、かなりのスピードでこっち向かって来ていた

しかし私は友達が居なかったので私に言っているものとは知らずにそのまま歩いてしまった


すると案の定

私は自転車と衝突した


「いったぁぁぁぁぁ!!」


自転車に乗っていた人は私に駆け寄って謝るよりも先に言葉の矢をぶつけに来たのだ


「アンタ!!アタシはどいてって言ったよね?」


「言っていたな」


「どうしてどかなかったの?」


「それよりも言うことがあるんじゃないか?」


「フン、アンタ無事なんだから別にいいじゃない」


「確かにカバンが衝撃を和らげてくれたから助かったが…」


「ならいいじゃない」


なんという人なんだ…こんな女性がこの世の中に居たなんてマンガや小説などでしか居ないと思っていたが本当に居るんだな…マンガや小説と違って全く可愛げがない


「アンタ今、心の中で失礼なことを考えたでしょ」


「なぜわかった…」


「アタシ、そういうの敏感なの」


「変なセンサーが君にはあるんだな…」


「酷い!!アタシの事をなんだと思ってるの!?」


「衝突してきたのに私に謝らない顔立ちは良いのに残念な女だが」


「もう分かったわよ!謝ればいいんでしょう?

はいはいゴメンなさいアタシが悪かったです!」


なんだろうこの込上がる怒りのようなものは…


「よし、君、名前は?」


「急に何よ」


「学校に届けを出そうと思って」


「やめてよ!!」


自分で言っておいてなんだが少し冷静になると何故自分はこの時そんなことを思ったのだろうか


「アンタ、ちょっと哲学的な話し方ね」


「そうなのか?」


話し方…そんなもの生まれてきて気にした事がなかったので、なんともいえない気分だった


「君も…その…変じゃないか。初めて会った人にそん

な話し方…私じゃなければ叱られてるのでは?」


などとお互いに引かなかったが学校のチャイムが鳴り

私と彼女は校門めがけて走り出した

.................................................................................

そんな出会いだったなと父さんは笑った


「父さんは…今とあんまり変わらないね」


「変わってるよ、老いが見えてきてる」


とまゆ姉さんにツッこまれた


「まあ、ママも酷いよな今思い返すと…でも私は愛してたんだよ彼女に自転車をぶつけられ何故か運命を感じた一瞬自分のことがマゾなのかどうかと悩んだりもしたな…」


「私だったらそれが運命なの?はぁ?とか言って罵

しった」


「まゆ姉さん言っていいことと言ったらダメなことが…」


「実際そうだな」


と父さんが笑うとまゆ姉さんも釣られて笑う僕はそれを見て笑みを浮かべる。父さんは本当に人を和ませるのが上手いと思う


「まだ続き聞きたいか?お二人さん」


「私…は聞きたい」


「僕もあ、でも結婚する寸前のところが聞きたい」

「分かった」


父さんは一つの写真を持ってまた懐かしい話をし始める…

.................................................................................

「ねえ、滋さん」


「どうした?真奈?」


「今日は滋さんの家に泊めてよ」


「そう言うと思って今日は父さんと母さんから許可を得ているよもちろん妹にもね」


「璃美ちゃん可愛いよねー絶対モテるよあの子」


「そうなると私のように好きな人を連れてくるのか…心臓持つかな…」


「大丈夫よ、アナタがドキドキしてようがアタシが支えてあげるから」


「頼もしいね真奈は…」


私はポケットから箱を取り出す


「何、それ?」


「真奈、私と結婚をして欲しい」


「ふふっ」


「どうかしたのかい?」


「いや私もついに結婚するんだな〜って思った」


「なんなんだよそれ…ん?つまり…OKってこと?」


私達は次の日からお互いに誰を結婚式に招待するかなどを二人で話あいながら選んでいった

そんな時だった…


「し、滋さ…」


「ま、真奈!どうしたんだ!」


「お、お腹が…」


「真奈、お腹は大丈夫かい?」


「うん、アタシはアナタがいる限りアタシは疲れないし倒れないし無敵だよ」


「まるで味方を連れてくるラスボスだね、周りのヤツ

倒さないとひたすらHP減らないやつ」


「笑かさないでよお腹が痛くなるでしょ…」


「ごめん…」


こんな風に私は真奈を笑かせつつ、二人にとって嬉しい日が来た


私が父さんの仕事の手伝いをしている頃に妹から連絡が入った今日もしかすると生まれるかもという病院からの連絡だった


「お兄ちゃん遅いよ!」


「済まない璃美…」


「ほら、あっちの部屋だよ」


璃美の話を最後まで聞かずに部屋へと駆けた

すると部屋から赤子の声が聞こえた


「お…」


「生まれたよ滋さん」


「頑張ったね真奈…」


二人の愛の結晶は元気よくこの世界へと生まれてきたのだった

それから数ヶ月後名前を悠馬と家族と親戚全員で名付けた。名付け親は真奈だった


「悠馬…」


「いい名前でしょう?」


「本当にいい名前だよ真奈」


「璃美ちゃん、ちょっと飲み物とって」


「はい、スポーツドリンク」


璃美は真奈が妊娠してからずっと頼み事を聞いてくれている


「私がするよ」


「璃美…分かったでもたまにはお兄ちゃんにも頼れよ?」


「お兄ちゃんは、老けてるから子供に老けがうつる」

(なんとも辛辣なお言葉で…)

「そうか…歳かな…」


「まだ若いよ」


「ありがとう」


悠馬が1才半になる頃、私と真奈は結婚した

みんなが祝ってくれて璃美が私たちの代わりに悠馬を抱いて結婚式に来てくれていたのがとても印象に残っている

.................................................................................

「本当にいい人だったよママは…」


父さんが涙を零す


それを見た僕とまゆ姉さんは無言で父さんの傍に寄り添った

アルバムを無言で父さんはめくり何かを探していた


「父さんはなんの写真を探しているの?」


「ああ、私と真奈と悠馬で行った花畑の写真だよ」


「そんなのあるんだ」


「なんの花だったんですか?」


「確かヒマワリだったよ、次の夏にみんなで行く予定だからその写真を見つけないと行き先が分からなくてね」


「これじゃないかな」


僕は黄色い花に囲まれ笑顔で映っている家族写真を指さす


「これだこれだ…私若いな」


「今も若いよ父さんは」


「そうだよ若いよ」


まゆ姉さんが自ら父さんを褒めていることに僕は少し驚いた


「さてと、そろそろご飯を頂こうかな」


「私も欲しい」


お腹の音がなる二人にせがまれては断れるはずもなく僕はキッチンへと向かう


『滋さん…』


「真奈!?」


私は辺りを見回す


「気のせい…じゃないな…全く分かったよ真奈…」


父さんは母さんの遺影に向かって笑っていた


僕には父さんと母さんが笑っているように見えて目を思わずこすった


「ゆうくん、ご飯まだ〜?」


「ハイハイもうすぐで出来るよ」


どうやら家族の仲もアルバムのおかげでさらに良くなった気がする


ご飯を作ったあと座布団に座り直し

僕は母さんの遺影を見て目を閉じる

母さんが僕に料理を教えている記憶を思い出していた

.................................................................................

『ゆう、これが父さんが好きな料理のメモよ』


「たくさんだね」


『あの人はね、唐揚げとかカレーとか子供が好きなものが好きなのよ本当にそこが可愛い…今のは父さんには内緒よゆう』


「うん!」


母さんは僕の頭を撫でて僕に唐揚げを一つ食べさしてくれた


『どう?)


「あふぅい」


『ちゃんと冷まして食べないからよ』


あの笑顔がとても印象的だった

.................................................................................

今日の晩ご飯は唐揚げを作ってみた


「できたよ〜」


「ゆうくんの唐揚げだ〜!」


「お、ゆうも唐揚げ作れたんだな…まるで母さんだな、ゆう」


「照れくさいな…」


『もう!滋さん、そんなに慌てなくても唐揚げは逃げ

ないからもう少し落ち着きなさい!』


僕は慌てて振り返る

母さんが父さんに話しかけていたようなそんな気がした


「大丈夫、母さんの事を父さんは忘れてないから」


母さんが笑っているような気がした

晩ご飯後唐揚げは綺麗に食べ尽くされてしまい

僕には一つも回ってこなかった…



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