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暖かい家族を築いていく〜 make a family〜  作者: 黒帽子
思い出の夏
28/43

夜空

僕は晩までぐっすり寝てしまっていた


「あ…眠ってたのか…僕は)


頭の上に乗っているものにふと気づいた


「タオル…かな?」


ゆっくり体を起こすと

壁にもたれたまま眠るまゆ姉さんの姿が見えた


「看病してくれたんだね…」


もう一度、布団の中で寝ようとすると

まゆ姉さんがひどく眠たそうな顔で僕の近くまで寄ってきていた


「ぎやぁぁぁ!!って…寝てる…のかな?」


目は瞑ったまま、僕の布団の中に入ると

まゆ姉さんは小さな寝息を漏らしながら

眠ってしまった…


「何だったんだろう…今の…」


僕はふすまを開け、リビングに行くと

父さんが黒木さんと話しているのが襖の隙間から見える


「何を話してるのか全く聞き取れないな…」


僕は自分の部屋の襖に戻ろうとすると

まゆ姉さんと鉢合わせした…しかも寝起きのまゆ姉さんと…


「居なくなってたからビックリしたよ…

ごめんね、ゆうくんの布団で寝ちゃって…」


「ちょっと目が覚めちゃって…あはは…」


(どこかけだるさが残る…)


「眠れないのなら星を見ない?」


「星?」


まゆ姉さんに手を引かれるまま庭に二人で座り

星を眺める


「ねえ、ゆうくんあの三角みたいな三つの星って

なんの名前が覚えてる?」


「いや、覚えてないなあ…でも、綺麗だなぁ」


夜空は綺麗な宝石箱のようにキラキラしていて

でも、どこかでこんなふうに誰かと一緒に

星を見た気が…思い出せない…


「ふふ…ゆうくん…膝借りるね…」


そう一言残して僕の膝の上に頭を置くと

まゆ姉さんは僕の顔をのぞき込む


「私、昔はこうやってよく、お父さんの膝に乗せ

てもらって夜空を見てたんだ…」


――――――――――――――――――――――

「ねえ、お父さんあの三角ってなに?」


『あれはね夏の大三角だよ、父さんは名前まで

は分からないけどね…』


「お父さん、星って名前があるの?」


『あるとも、人に名前があるように星にも名前が

あるんだよ」


と言って頭を撫でてくれる

撫でてくれるのがとても私は好きだった…

――――――――――――――――――――――

「ゆうくん、頭撫でてくれない?」


「こう?」


僕はまゆ姉さんの頭を撫でると

気持ちよさそうに撫でられるので

小動物を撫でるような気持ちになって撫でた…

(可愛い…ずっとこうしていたい…)


「ゆうくん…痛いよ…」


「あっ…ごめんね」


まゆ姉さんの話を思い出してふと思う

(まゆ姉さんは寂しくないのかな…もし父さんが

亡くなったら…僕は…)


そんな考えを晴らすかのように頬にまゆ姉さんの指が触れる


「何か考えたでしょ…」


「うん」


「イヤラシイ…こと?」


「違うよ!!」


まゆ姉さんの「イヤラシイ」を言ってからの謎の間が僕をドキドキさせる

もちろん悪い意味で


「ねえ…まゆ姉さん」


「何?ゆうく…」


僕はまゆ姉さんの体を起こすと

思わず抱きしめる

僕の嫌な考えを…僕の辛い過去を…

昔の自分に言ってやりたい


『もう少し耐えたら…楽になるよ…

もう少し我慢したら…苦しむ事なんてないんだ

よ、、僕は…いい人たちに出会えるから…』


「ゆゆゆゆ…ゆうくん!!き、急に抱きしめられ

ると恥ずかしい…よ…」


「もう少しだけ…もう少しだけだから…」


僕は涙ぐみながらまゆ姉さんに…いや、僕自身に

自分の不甲斐なさを思い出させる


────僕一人では何も出来ない、そんなことは

分かっている…分かっていたつもりだった…

それでも前は一人でしようとしてきた…

でも、今は…みんなが手を差し伸べてくれる…

もうひとりじゃないんだ…



「うん、よしよし…頑張ったね…もう頑張らなく

てもいいんだよ…」


僕は二回目の人の優しさに触れた…


一度目は確か…

『悠馬くん…今まで…私のためにありがとう…』

卒業式の時に黒木さんから言われた言葉


今度も…また、、

僕は感情のまま泣いてしまうんだろう…




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