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暖かい家族を築いていく〜 make a family〜  作者: 黒帽子
思い出の夏
26/43

悪夢

僕は父さんに連れられ、まだ布団のひいてある僕の部屋に連れて行ってもらった


「ゆう、今からおかゆを作ってくるから安静に

してるんだよ」


そう言い残して去っていった…


「おやすみなさい…」


.................................................................................

「ここは…」


奥から母さんが出てくる


『ゆうのためにお店に行ってご飯を買ってくるわ

だから、滋さんはゆうと留守番お願いね』


『君がそこまで言うなら…』


僕は必死で母さんに訴える


「母さん!行っちゃダメだ!!行ったら戻ってこ

れなくなるよ!!母さん!!」


『じゃあ、滋さん着いてきてくれる?』


『分かったよ真菜まな


『行ってくるわね、ゆう』


『ちゃんと留守番してるんだぞ?』


「え……?」

二人は家の玄関を出ようドアノブを回す


「母さん…お願いだから父さんを連れていかない

で!!独りにしないでよ!!」


すると床が抜けて教室の床が見えてくる

それに呼応するかのように私服が制服に変わる


――――――――――――――――――――――

『おい宮田!さっき教室にまで来て

黒木さんがお前のことを探してたぞ?』


と成田から紙をもらう

『屋上で待ってる』


僕は屋上に向かう

すると、そこに黒木さんは居なかった…


『悪いな宮田、ここに黒木さんは居ない…

こうでもしないと次は俺がいじめられるんだ…

すまない…』


僕は腹を殴られ屋上で仰向けになった…

それでも成田は涙を流しながら…ただ悔しそうに

僕の胸を殴る…殴る…


「ただいま……父さん?どこに居るの?」


僕は広い家を走り回る…


『どうしたんだその胸!?』


父さんの声を聞いてホッとした…


「階段から転んだんだ…」


『ドジだなぁゆうは』


僕はこの時、心配をかけたくなくて父さんに嘘をついた…でも、本当は…本当は話だけでも聞いて欲しかった…抱えてることや守りたい人のこと…

話したいことは色々あった…


「母さん…僕、頑張るから…母さんみたいに父さ

んを支えていくから…」


――――――――――――――――――――――

目を覚ますとそこにはいつもの天井と

僕を心配をするみんなの顔


「ゆうくん、うなされてたよ…とても辛そうだっ

た…」


「そ、そう?いい夢だったよ?」


僕は強がる

母さんの葬式で母さんと約束した…

返事のない約束…


『僕が母さんみたいに父さんを支えるから…』


ふと気づくと僕の目から涙が零れ落ちていた


「いったい、どんな悪夢を見たらそんなに涙を

流せるのか父さんには分からないなぁ…」


「大丈夫だよ、父さんただの風邪だから…」


僕の言葉を信じたのか一人を除いて全員が部屋から出る


「まゆ姉さん、風邪移っちゃうよ?」


「私はゆうくんの姉なんだから言いたいことがあ

ったらなんでも言って…私はゆうくんの…」


僕の頬にまゆ姉さんの涙が、一つまた一つ…

僕は大きな間違いをしてたのかも知れない…


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