悪夢
僕は父さんに連れられ、まだ布団のひいてある僕の部屋に連れて行ってもらった
「ゆう、今からおかゆを作ってくるから安静に
してるんだよ」
そう言い残して去っていった…
「おやすみなさい…」
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「ここは…」
奥から母さんが出てくる
『ゆうのためにお店に行ってご飯を買ってくるわ
だから、滋さんはゆうと留守番お願いね』
『君がそこまで言うなら…』
僕は必死で母さんに訴える
「母さん!行っちゃダメだ!!行ったら戻ってこ
れなくなるよ!!母さん!!」
『じゃあ、滋さん着いてきてくれる?』
『分かったよ真菜』
『行ってくるわね、ゆう』
『ちゃんと留守番してるんだぞ?』
「え……?」
二人は家の玄関を出ようドアノブを回す
「母さん…お願いだから父さんを連れていかない
で!!独りにしないでよ!!」
すると床が抜けて教室の床が見えてくる
それに呼応するかのように私服が制服に変わる
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『おい宮田!さっき教室にまで来て
黒木さんがお前のことを探してたぞ?』
と成田から紙をもらう
『屋上で待ってる』
僕は屋上に向かう
すると、そこに黒木さんは居なかった…
『悪いな宮田、ここに黒木さんは居ない…
こうでもしないと次は俺がいじめられるんだ…
すまない…』
僕は腹を殴られ屋上で仰向けになった…
それでも成田は涙を流しながら…ただ悔しそうに
僕の胸を殴る…殴る…
「ただいま……父さん?どこに居るの?」
僕は広い家を走り回る…
『どうしたんだその胸!?』
父さんの声を聞いてホッとした…
「階段から転んだんだ…」
『ドジだなぁゆうは』
僕はこの時、心配をかけたくなくて父さんに嘘をついた…でも、本当は…本当は話だけでも聞いて欲しかった…抱えてることや守りたい人のこと…
話したいことは色々あった…
「母さん…僕、頑張るから…母さんみたいに父さ
んを支えていくから…」
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目を覚ますとそこにはいつもの天井と
僕を心配をするみんなの顔
「ゆうくん、うなされてたよ…とても辛そうだっ
た…」
「そ、そう?いい夢だったよ?」
僕は強がる
母さんの葬式で母さんと約束した…
返事のない約束…
『僕が母さんみたいに父さんを支えるから…』
ふと気づくと僕の目から涙が零れ落ちていた
「いったい、どんな悪夢を見たらそんなに涙を
流せるのか父さんには分からないなぁ…」
「大丈夫だよ、父さんただの風邪だから…」
僕の言葉を信じたのか一人を除いて全員が部屋から出る
「まゆ姉さん、風邪移っちゃうよ?」
「私はゆうくんの姉なんだから言いたいことがあ
ったらなんでも言って…私はゆうくんの…」
僕の頬にまゆ姉さんの涙が、一つまた一つ…
僕は大きな間違いをしてたのかも知れない…




