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まさかと思いながら

 得意げなメメル姉ちゃんのドヤ顔を見ながら僕は、先ほど現れたあの怪人物の悲鳴を聞いた。

 確か魔法を消す効果があのマントにはあった。

 だが今の感じでは、投げたものに対する衝撃に抵抗する術はあまりないのだろう。

 

 だからこのような事態になっているのだろうけれど……と僕が思いながら、


「でもあんな木箱が一体どこに」

「部屋にあったから。空箱みたいだったし2個ほど拝借してきたのよ」

「なるほど……」


 僕は頷きながらメメル姉ちゃんの持っている空箱の一つを見ながら、先ほど飛んで行ったものがあれだったんだなと僕は思った。

 でも魔法攻撃よりも物理攻撃……そう考えて、傍に飾ってあった量産品らしい絵を拝借し、表面に電気の魔法を付加させる。

 金色の光がぱちぱちとはじけて綺麗だが、僕の予想通りなら……どのみち先ほどの性質で、雷の魔法には弱いはず……そう思っていると、


「やってくれましたな。まさか出合い頭にいきなり物を投げつけてくるとは。これだから野蛮人は……」


 と、再び格好つけなのか余裕めかしたように話し出す声がして、あの怪人物が再び僕達の前に現れたので、さっそく僕は雷の魔法を表面に付加させた絵を投げた。


「ぐわぁああああ……ふ、魔法を付加させて攻撃したのですか。残念ですね。一度発覚した弱点は克服する主義なのですよ」


 よく見ると先ほど見たマントにさらに薄い布のようなものがつけられている。

 それに雷の耐性を付けたのかもしれない……とよく見ると、そのマントの先が銀色の金属になっていて一部地面に触れている。

 あれを通して電気を地面に受け流しているのかもしれない。


 工夫が色々されているのは、対人戦だからといった所か。

 けれど絵自体の衝撃がそれほどでなかったとはいえ、マントの表j面には傷がついている。

 物理的な攻撃を抑えられないのであれば、この魔法攻撃を中心としてこのマントが作られていると仮定して……防御の結界が必要。


 けれどそれを作るには呪文が必要。

 呪文なしでも発動はできるが効率が悪い。

 そしてできれば戦闘はこの建物の外で行いたい。


 そういった状況を瞬時に考えた僕は、


「メメル姉ちゃんも含めてみんなで物を投げつけましょう。それでここから追い払います!」


 僕がそう告げると同時に、メメル姉ちゃんが木箱を投げつけて、それを合図に過敏やら何やらをマリンたちも投げ始める。

 そこら中にあるものを、とりあえずは緊急事態なのでどんどん投げていく。


「や、やめろ、痛い! く、この野蛮人が!」


 などとあの怪人物は必死になって逃げている。

 魔法攻撃戦しか想定していなかったのだろうけれど、これは好都合だと思いながら全員で投げていく。

 慌てたように逃走していくこの怪人物。


 そしてどうにか宿の外にまでおい出して、怪人物は反撃の魔法を使おうとしているようだったけれど、


「では~、この大きな樽はいかがでしょうかぁあああ」


 メメル姉ちゃんが外に置かれていた、身長の半分程度の高さの樽を持ち上げて投げた。

 怪人物の悲鳴が聞こえる。

 僕は機会だ! と思って怪人物の方に走り出す。と、

 

「く……衝撃吸収素材が、まだこの時代にはないから……面倒な……」


 そんな奇妙な呟きを、その怪人物がするのを僕は聞く。

 まさかと思いながら、彼の死角に入り込んだ僕はそのまま彼の体に触れる。


“コピー能力”


 僕はそれを使い、そして……この人物の“正体”に気づいたのだった。


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