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魔法攻撃よりも物理攻撃よね

 何者かが階段を上がってくる音がする。

 こつ、こつ、こつ。

 こう見えても僕達は話し声が小さかったのと、部屋の入り口の扉を開いていた、そしてこの宿には僕たち以外に動く人はいなかった、という理由からよく音が聞こえる。


 まだ二階に差し掛かっているところらしいその人物。

 普通の一般人が恐る恐る、といった雰囲気で上がってきているのかもしれないが、この状況ではそれも厳しいだろう。

 今迄にそうかと思って様子を見ても現れるのは敵ばかりだったから。


 だがもしもここでまた、どうにか無事だった一般人が入り込んできた場合をマリンたちは考えているようだった。

 そして、今遭遇したものが敵だった場合、


「ここに来られて戦闘になれば隣の部屋にある石になった人たちが巻き添えになります。その危険は避けたい。それに、ここには都市との連絡装置がある。……どれくらいで直りそうですか?」

「数時間はかかりそうですよ、早くても。……日も暮れるから、うまく明かりが漏れないようにして修理しないといけないし」


 ため息をつくマリンの仲間の話を聞きながらマリンが、


「では私達で、一番初めに接触。一般人ならこちらに連れてきて保護。もしも敵だったなら誘導して戦闘をします。クラリス、貴方はここに残っていてください。石になる呪いを解除できる薬を作れる人物は今の所貴重ですから」

「だが“蛇の果実”だったか? あれの成分についても私は興味があるから、戦闘になったならぜひ手に入れたい。もしくは観測をさせてほしい。そこから……もっと効率のいい解除薬の生成方法を思いつくかもしれない。……戦闘に関しては、これでも近くの森などに言って必要なものを採ってきているから、魔物と戦ったりはしているし……昔よりは腕は衰えていないと思うよ」


 そう答えたクラリスにマリンは呻くも、こうやって話している間に謎の人物がこちらにどんどん近づいているのだ。

 そしてマリンとクラリスが進んでいき、そのあとをアリサがいく。

 僕もお手伝いしようとついていくとリリル、メメル姉ちゃんも来た。


 マリンたちは何か言おうとしたが、ちょうど二階の踊り場に足音の人物が現れた。

 シルクハットにマントを着た人物。

 ぞわりと宗家だつのを僕は感じた。


 目の前のマリンたちも立ち止まっているのは驚いているからなのだろう。

 知るとそこで僕達に気づいたその人物が、僕達を見て嗤った。


「おやおや、こんなところでお会いするとは……これで顔を合わせるのは今日は二回目の方々もいますね。こんな珍しい日は初めてです」


 おどけたようにそういう人物。

 気色が悪い、そう僕が思っていると、


「あれは“敵”?」

「うん」


 メメル姉ちゃんの言葉に僕は頷いた。

 そう、あいつは母さんを……。

 などと僕が怒りに燃えた所で僕のすぐそばを、何かが弧を描くように浮き上がってから飛んでいき、


「うわぁああああ」

 

 間抜けな悲鳴が聞こえた。

 予想外の展開に僕が固まっていると、僕の後ろにいたメメル姉ちゃんが、


「やっぱり、魔法攻撃よりも物理攻撃よね」


 などと、得意げに言っていたのだった。


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