誰か
クラリスはしばらく考え込んでいるようだった。
“蛇の果実”に埋め込まれた道具。
それを壊すと青白い液が出て霧散し、それのおかげで石化が解かれたのだ。
いったいどうしてそのような現象が起きたのか。
彼ら自体が周りの人間を石にする魔法を使っているのに、その石を解除する魔法の薬を体内に仕込んでいる。
その矛盾が奇妙に僕は感じているとそこでクラリスが、
「元々この世界の人間は“石”から作られた。そして、“石”から人間に戻す薬。石化の解除。……“本来の人間”に戻す効果がある。では、普通の石化の魔法がされていない人間にその効果が付加されたのなら……上手く変換して自身の体に流し込めれば魔力などの増幅、能力値の上昇が見込める効果がある?」
ふと、クラリスは考え込むように呟いてから更に推測を口に出しと述べて考え込む。
そこでマリンの仲間の一人が、
「でもこの石化解除の液がどんなものかがよく分かりませんね。いつも倒したときに消失してしまっているので、ですがこの液体がどんなものなのかが分かれば、あの装置の機構も含めて、再現が可能になり、あの“邪教”の能力もわかるでしょう」
「でもこの液体が石化の呪いを解除できるとはいえ、一瞬にして空気中に散らばるのは……」
クラリス達がそこで黙ってしまう。
そこで今の話を聞いていた僕は、
「まるで圧力で液体にされていたみたいですよね。常温で気体になっちゃうような……」
ポツリと僕は呟いた。
なんとなく前世の記憶でそう言ったものを習ったような気がしたから、つい口に出してしまったのだ。
身近にあった空気の成分である酸素や窒素といったものも圧力や温度によって、液体になる。
液体窒素といったものは、料理に使われたりしているらしいとTVで見た記憶もある。
他にも、状態変化といえば、固体から気体になるといったドライアイスがある。
冷たい氷のようなあれで、保冷剤として使ったりするけれど、空気中に放置すると二酸化炭素になってしまうのだ。
どうしてか浮かんだその知識。
そこでクラリスが、
「この石化の魔法の解除薬、その中に揮発しやすい成分が含まれていたりしないか? ……試しに石像のそばでその薬を作ってみれば、何かとっかかりが掴めるかもしれない。……確かに歴史上ではかの“邪教”が使っていたとはいえ、この薬が出来た時期は最近といっていいし、それ以降石化の魔法の研究はそこまで盛んにおこなわれては……」
そう呟き考え始めるクラリス。
どうやら僕にったことが何かヒントになったようだ。
そこでマリンが僕の方をじっと見てから、
「なるほど、面白い案ですね。どうしてそのようなものを思いついたのですか?」
そこでマリンにそう言われてしまった僕は、しまった、と思った。
僕はどうしようか悩んでから、
「以前冒険ものの本で読んだ記憶があります。ただその本の題名はよく覚えていないのですが」
「そうですか。物語は突然予想もつかない想像が出てくるものですからね。……なるほど」
そう頷きながらも僕の方をじっと見るマリンに僕は、そろそろ勘弁してくださいと思う。
と、そこで、何者かが階段を上がってくるような音が聞こえたのだった。




