魔法
石化の魔法と、あの風のような薬品? が合わさって、そこそこ大きな爆発が起こった。
魔法薬と魔法が組み合わさるだけではなく、魔法と魔法が触れ合った時にも魔法同士が干渉しあいこういった爆発を起こすことがある。
“予期せぬ効果”と呼ばれるこの効果だが、まさかこれに対してこんな風になるとは僕は思わなかった。
幸運な偶然ともいえる。
もっとも彼らが振りまいた風邪のような奇妙な症状を出すその薬がここで焼失してしまう、というデメリットも得たけれど、どうにか僕が石化されるのを避けられたようだ。
そこでドーラが目を見開き怒りの形相で僕達の方を見て、
「この……石化の魔法の杖はこれで終わり……こうなったら……」
そう言って、ドーラは自分の肩のあたりに手を触れた。
そこは“蛇の果実”がよく埋め込まれている場所だった。
まさか!
そこで触れた肩の部分に白い光が現れて、ドーラがにたりと笑い、すぐに白目をむく。
そのまま笑うような顔で首を横にかくんと折れ曲がらせてゆらりと立ち上がる。
不気味な、歩き回る亡者の様相を呈した“蛇の果実”の怪物が僕達の前に現れた。
「まさか、あの“邪教”全員が、こうやつて体に埋め込んでいる?」
僕は推測を呟いてみたけれど、今はそれを検証している暇はない。
マリンやクラリスの石像を守るようにして、この“蛇の果実”と戦わないといけない。
この部屋はそこまで広くないのも災いした。
僕達とこの怪物の距離はとても近い……。
そう思いながら攻撃魔法の呪文を準備しようとした所で……その“蛇の果実”に向かって、椅子が投げつけられた。
「うご?」
不思議そうな声をあげて“蛇の果実”は倒れ掛かる。
魔法攻撃ではなく、椅子が飛んでくるとは思わなかったのだろう。
その飛んできた先にいたのはメメル姉ちゃんだった。
ちなみにすでにもう一つ椅子を抱えて、他にも、空き箱の木箱のようなものやら何やらがメメル姉ちゃんの周辺に転がっている。
そこでメメル姉ちゃんが、
「もっと早くすればよかったなっと!」
そういって再び椅子を投げつける。
どうやら想定していたのが魔法戦であるらしく、“蛇の果実”はうまく反応できない。
もしかしたならこの怪物は“魔法”に反応しているのかもしれない、そう僕が思うと同時にアリサやリリルたちの氷の矢が“蛇の果実”を使うドーラに襲い掛かる。
それらは容易に振り払われてしまったが、僕も氷の魔法攻撃を行い、その間にアリサたちも魔法攻撃、メメル姉ちゃんの木箱攻撃などが行われる。
“蛇の果実”を使ったドーラはメメル姉ちゃんの物理的な攻撃? にはどう反応したらいいのかわからないようなブレが少しある。
それを利用して、その起動させた肩の部分を同時に僕たちは狙っていく。
それは、僕とアリサの氷の矢の同時攻撃だった。
破裂するような音がして、肩の部分から青白い液体があふれ出して空気中に拡散して消えていく。
本当なら一つくらい手に入れればよかったが、今はそういった状況ではない……そう僕達が思っていた時だった。
「「え?」」
僕達の後ろで、そんな二人の声が聞こえたのだった。




