貴方が来るまでは上手くいっていたのですが
そのあらわれた男によって、放たれた魔法。
僕の言葉は少し早かったおかげがあるのかもしれない。
大量に放たれたその魔法は、以前に見たことがある。
つまり、石にされてしまう魔法。
それを見てやはり彼らの仲間かと思う。
その攻撃を受けて僕たちは扉の左右に分かれた。
片方がクラリスとメメル姉ちゃん。
こちらがマリンと、僕、アリサ、リリルの四人。
扉を通して分断されてしまったような形ではあるけれど、一番初めの攻撃は避けられた。
だが、まだ敵は倒せていない。
そこでマリンが、
「ドーラ、どうしてこんな!」
「どうして? あの方に従わない者が愚かなのです。貴方や我々の元“仲間”も含めてね。まったく嘆かわしい。あの方は素晴らしい方だというのに」
嘆くようにドーラは言う。
それにマリンガ唇をかむようにしてから、
「こんな町の人達を石にしたり、“蛇の果実”で人を傷つけたりしても、ですか」
「それは仕方がない事なのです。あの方の教えを理解できない愚民は、この世界にふさわしくないのです。それに“蛇の果実”は才能も能力もない者たちを、あそこまでの魔法が使える人物たちに変えたのです。あんな魔法、あの方はよく使うことが出来たと思います」
陶酔するように言うドーラ。
どうやらあの“蛇の果実”を作ったのはそのドーラという人物であるらしい。
それを聞いたマリンがうんざりした様に、
「……あの方のどこにそんな魅力があるのですか? ただ魔法技術があるだけで棟数知るとは思えません。大体そんなもの、一人の知識で作れるとは到底思えないのです」
「そうですね、ですがあの方は天才であり、“神”なのです。何故なら、この先の出来事全てを、間違うことなくあてるような能力があるのです。あんな素晴らしい方は、出会ったことがありません」
そう語りドーラの瞳は輝いている。
だがその未来を知るというのはどういう能力だろうと僕は思う。
特殊能力の類であっても僕のコピー能力ではコピー出来て、その他の分類に魔法上はされるはず。
ちなみにコピーするにはいくつか条件が必要で、教えてもらってというのもあるが、場合によっては相手に接触して情報を読み取る必要がある。
それは能力の“解析”に、より強力であったり複雑であったりする者の場合、時間がかかるからだった。
といっても触れてしまえば数秒と立たずにその能力はコピーできるが。
この“邪教”のあの方という胡散臭い人間の能力をコピーすれば、その正体がはっきりするかもしれない。
……ただの“ペテン師”だと発覚するだけかもしれないが。
そこでマリンが、
「……それで私達の仲間に紛れ込んで石にするなんて、まさかあなたがそんなことをするなんて思わなかったわ」
「仕方がないではありませんか、だって都市に連絡すると大騒ぎでしたからね。おかげで彼らを石にしてから、連絡装置を破壊。この宿にいる私が、彼らの仲間だと気付かれるのも困りますので、ここの宿にいる人たち全員を石にしてかたずけて、戻ってきた仲間も石にして……マリン、貴方が来るまでは上手くいっていたのですが」
そういってドーラは嘆息したのだった。




