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上の階

 入り口近くに料金を支払うカウンターがあり、その隣にこの宿は階段があるようだった。

 そこに近づき、あまり横並びで登れない階段の一番前を、アリサが行きたがっていたのを抑えてマリンが歩いていく。

 一歩歩くごとにきしむ音がする。


 しんと静まり返ったこの宿では妙にその音が大きく聞こえた。

 ちなみに一番最後を歩いているのは僕だったりする。

 背後から誰かが攻撃してきたりしないか見張っていてねということらしい。


 だからリリルとアリサは僕の前にいる。

 そして一段ずつ上がっていくが、一つ上の階に来ても誰かが突然飛び出てくる様子はない。

 そうなってくるとここの階にある四つの部屋をひとつづつ見ていく事になるが、そこでマリンが一番手前の部屋の木製のドアノブに手を触れた。


「ここには鍵がかかっていて入れそうにないわね。次の部屋に行きましょうか。それとも、試しにいじって開けてみるか。中に人がいるのなら声をかけたいけれど、どこの階にいるのかわからないし」


 そうマリンがいうのを聞きながら僕は、そういえばと僕は思い出した。

 この地図、範囲を選択できるのだ。つまり、


「あの、この建物だけに限定してこの地図を作れば、もう少し詳しい中身がわかるかもしれません」

「そんなことが出来るのか?」

「はい」


 僕は頷いてすぐに地図を変更して見せた。

 範囲はこの建物の中だけ。

 見ると三階の一部屋にその光がある。


 それを見たマリンが、


「その部屋は私達が拠点にしていた部屋の一つです。……やはり仲間の一人は無事だったのですね!」


 嬉しそうなその様子を見ながら、とりあえずこの二階の階は調べるのをやめることにする。

 また三階だけれど、ズレがあったら嫌なので隣の部屋なども僕は見ておこうと思った。

 この地図が実は少しずれて表示されているとなると、恥ずかしい気がしたので、それなら僕が事前に確認しておいた方がいいだろう。

 

 そんな期待を胸に僕たちはさらに三階へとやってきて、マリンガ目的の部屋の前にやってくる。

 そして僕はその隣の部屋を開こうとs機の取っ手に触れる。

 鍵はかかっていなそうだ。


 マリンが扉を二回ほどたたく音がする。

 そして声をかける。


「マリンです。どうにかここまで戻ってこれました。空いているようでしたら中に入ります」


 けれど中からは特に返事はない。

 もしかして攻撃されて倒れているのだろうかと僕は思五つもそこで力を込めたのかその場所のドアが少し開いてしまう。

 僕以外の全員がマリンの様子をうかがう中、僕はその隙間から見てしまった。

 

 この部屋の中には、マリンと同じ格好をした人たちの石像がいくつもある。

 しかもその全員はとても“驚いて”いるようだった。

 まるで、“思いもよらない人物”を見ながら石にされてしまったかのように。


 僕の背筋に冷たい汗が流れる。

 まさか。

 僕がマリンたちにこの話を伝えようとした所で、部屋の中から声がした。


「マリンか、無事だったのか。少し待ってくれ、今、開ける」

「ドーラが無事だったのですね、よかった」


 安堵したマリンの声、そして扉が開こうとするのを僕は見ながら僕は叫んだ。


「気を付けて! そこにいるのは、“敵”の仲間だ!」


 同時に、扉が大きく開かれて中から一人の男が現れる。

 マリンと同じ服装の男で彼は笑っていて、


「ご名答」


 そう一言答え、魔法を僕たちの方に向けてはなったのだった。



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